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Naイオン電池の陽極材料の性能を向上させるワンステップ方式

One-Step Method to Improve Performance of Cathode Materials in Na-Ion Batteries

By Li Yuan, Chinese Academy of Science

https://techexplor.com/ より   2021.05.24

          メカノケミカル法により合成されたフルオロリン酸バナジウム・

          ナトリウム電気化学的性能   出典:中国科学院

 

 Naイオン電池は豊富な原材料資源、低コスト、高安定性により大規模なエネルギー貯蔵に有望である。

 理論エネルギー密度が480 Wh/kgのフロオロリン酸バナジウム・ナトリウム(Na3(VOPO4)2F)は様々な陰極材料の中で有力な候補と見做されている。しかし、合成プロセス中の本質的な低い導電率および高いエネルギー消費はその上、商業化を妨げる。

 中国科学院のプロセス工学研究所と物理学研究所の研究者達は優れたレート性能とサイクル安定性を示すNaイオン電池の陰極材料としてポリアニオン性化合物バナジウム・フルオロホスフェートを迅速に調製するためにワンステップ・メカノケミカル法を開発した。この研究は514日にNature Communicationsに発表された。

 準備されたNa3(VOPO4)2F/KB複合材料は0.1℃で142 mAhg-1の高い放電容量を実現した。理論上の比容量(130 mAhg-1)を超える追加容量は界面電荷蓄積の恩恵を受けた。さらに20℃でも112 mAhg-1の比容量が得られるため、3分で完全充放電が可能である。この複合材料の優れたサイクル安定性は10,000サイクルにわたって98%の保持力を持つ超高サイクル安定性によって実証された。

 高分解能透過型電子顕微鏡は約30 mmNa3(VOPO4)2Fのナノ結晶が炭素フレームワークに埋め込まれていることを明らかにした。これにより電子Naイオンの迅速な伝導が促進された。

 充放電中のNa3(VOPO4)2F/KB複合材料の可逆的な構造変化と無視できる体積変化も、その場X線回折と23Na核磁気共鳴スペクトルによって実証された。「この方法は陰極材料の速度性能とサイクル性能を改善するための実行可能な戦略を提供する。その上、キログラム・スケールの製品はメカノケミカル法がNaイオン電池用の迅速で大規模な生産電池材料に適していることを示唆している。」と、研究の共同執筆者であるZhao Junmei教授は述べた。