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資源効率が高く、環境に優しいナトリウム・イオン電池

Resource-Efficient, Climate-Friendly Sodium-Ion Batteries

By Chalmers University of Technology

https://techxplore.com/  より   2023.12.13

 

 化石燃料のない社会への移行により、電池の必要性が急速に高まっている。同時に、この増加は最も一般的な種類の電池の主要成分である金属リチウムとコバルトの不足を意味する。選択肢の1つはナトリウム・イオン電池で、食塩と林業からのバイオマスが主原料となる。

 現在、スエーデンのチャルマーズ工科大学の研究者達は、これらのナトリウム・イオン電池が原料切れのリスクなしに、対応するリチウム・イオン電池と同等の気候影響をもたらすことを示した。「将来の電池に使用する材料は、再生可能エネルギーや化石燃料を使わない自動車車両への切り替えを可能にするために重要になるであろう。」とチャルマーズ大学の環境システム分析准教授であるRickard Arvidssonは述べている。

 欧州委員会の重要原材料法によると、EU諸国が再生可能エネルギー・システムや電動自転車に移行するにつれて、重要な電池原材料の需要が急激に増加すると予想されている。グリーン移行には、電池やその他の化石を含まない新しい技術の現地生産の拡大も必要であり、需要を満たすためには原材料の安定した供給が必要である。同時に、このような生産には、原材料の供給源の数が限られているため、供給中断の高いリスクが伴う。

 「リチウム・イオン電池は世界で主流の技術になりつつあり、特に輸送に関しては化石ベースの技術よりも気候に良い。しかし、リチウムがボトルネックとなっている。リチウム・ベースの電池を大量生産することはできない。」電動自転車を生産したいのと同じ割合で生産すると、長期的には埋蔵量が枯渇するリスクがある。」とArvidssonは言う。これに加えて、リチウムやコバルトなどの重要な電池材料は、そのほとんどが世界のわずか数カ所で採掘されており、供給にリスクをもたらしている。

 

ナトリウム・イオン電池は有望な技術を提供する

 新しい電池技術の開発は、次世代の持続可能なエネルギー貯蔵を目指して急速に進んでいる。その貯蔵には、寿命が長く、エネルギー密度が高く、製造が容易であることが望ましい。

 チャルマーズ大学の研究チームは、リチウムの代わりにナトリウム(一般的な塩化ナトリウムに含まれる非常に一般的な物質)を含むナトリウム・イオン電池に注目することにした。新しい研究では、電池のいわゆるライフサイクル評価を実施し、原材料の抽出と製造中に環境と資源に与える全体的な影響を調べた。

 論文「豊富な元素から作られたナトリウム・イオン電池の前向きライフサイクル評価」がJournal of Industrial Ecologyに掲載された。

 「我々は鉱物資源不足への影響という点ではナトリウム・イオン電池がリチウム・イオン電池よりもはるかに優れており、気候への影響と言う点では同等であると言う結論に達した。どのシナリオを見るかにもよるが、最終的には60ドルの間になる。「理論上の貯蔵容量は、キロワット時あたり二酸化炭素換算量で100 kg強であるが、これはこのタイプのナトリウム・イオン電池については以前に報告されているものよりも低い。これは明らかに有望な技術である。」とRickard Arvidssonは言う。

 研究者達はまた、環境に優しい電解質の開発など、気候への影響が電池全体の影響の大部分を占めるため、気候への影響をさらに軽減できる可能性のある多くの対策も特定した