塩戦争への新たな進出:ナトリウム摂取量が多いほど平均寿命は長くなる
A Fresh Foray in the Salt wars: Life Expectancy Higher with Greater Sodium Intake
By Todd Neale
https://www.tctmd.com/ より 2020.12.24
1人の専門家が死亡率を増加させる他の変数を指摘し、「この研究は有益でないと思う。」と言っている
181ヶ国からのデータに基づく生態学的研究によると、国民レベルの大きな塩摂取量はより長い平均寿命と関係しており、全死因による死亡率をへらした。しかし、国際社会や組織からのアドバイスに反するこれらの結果の意味は不明のままである。国の国内総生産と平均体格指数を調整後、1日当たり1 gのナトリウム摂取量追加に対して健康平均寿命に2.6歳の増加-60歳の平均余命に対しては0.3年-があった。研究者達(スイスのベルン大学病院;ポーランド、クラコウのヤギェウォ大学;ニューヨークのマウントサイナイ医科大学)はフランツ・メッセルリによって指導された。さらに、European Heart Journal(EHJ)に発表されるに先立って2020.12.22にオンラインで発表された解析で、全死因による死亡はナトリウム摂取量と逆相関していた、つまり1日当たり1 gのナトリウム摂取量使いに対して131人の死亡低下があった。
“これは実際、私の経歴の中で最も拒否された論文である。 Franz Messerli
「確かに塩が心臓の敵であれば、平均寿命と塩摂取量との間に[ 逆 ]相関があるべきであった。」とメッセルリはTCTMDに語った、しかし「私が非常に驚いたことに」反対があった。様々なグループが毎日のナトリウム摂取量に関する制限値を勧めている-アメリカ心臓協会は1.5 g、WHOは2 g、ヨーロッパ心臓病学会は2.3 g-ことを彼は指摘した。その値はこの研究の比較的高い摂取量と比較して短い寿命と死亡率増加と関係していた。
メッセルリはこのような解析で無数の限界を承知しており、食事勧告値は結果の根拠にはならないことを強調した。「塩摂取量を増やさないで、しかし、あなたが完全に正常血圧者であれば、ナトリウム摂取量を1.5 g以下に下げるアメリカ心臓協会の勧告に従う理由はない。」と彼は言い、「これらの勧告値は全く効果がないと言っている訳ではないが、ほとんど効果はない。」と付け加えた。高血圧患者については、「減塩を試みることが合理的であると思う。」と彼は続けた。
研究に参加してないナンシー・クック(ボストンのブリンガム・アンド・ウィメンズ病院)は結果を読み過ぎないように注意した。「これは生態学的解析で、非常に大雑把な関連解析である。」と彼女はeメイルでコメントした。「説明しながら、因果関係を推測するためには使えない。この種の調査は多くの要因によって逆相関関係や誤測定と同様に混乱の対象となる。一例として、多くのアフリカ諸国は低ナトリウム摂取量と短命の両方であり、一方、アメリカ合衆国は比較的高ナトリウム摂取量で長命である。ナトリウムがこの差の原因であることをこれは意味していない!」
結果がミスリードするかもしれないので、彼女は論文が発表されたことに驚いたと言った。「この研究が有益であるとは思わない。」とクックは言った。「読者が設計や使われた方法を理解しなければ、多くの誤解につながる可能性がある。」
塩を止めるかどうか?
研究は、高血圧性心血管疾患を予防するために食事中のナトリウムを制限することのメリットを何度も繰り返す塩戦争またはナトリウム戦争として知られるようになった最新の射撃である。ナトリウム摂取量の増加が有害であれば、平均寿命が短くなるはずである、とメッセルリと同僚は提案している。
研究者達は181ヶ国からのデータを組み込んでいる現在の研究でその考えをテストした。それらにはWHOからの世界的な結構推定、国連からの国民総生産推定値、そして世界銀行からの国レベルの所得データが含まれた。国レベルナトリウム摂取量の推定値は前の研究から取られた。
“この種の調査は多くの要因によって逆相関関係や誤測定と同様に混乱の対象となる。 Nancy Cook
平均的な1日当たりのナトリウム摂取量はケニアの1.48 gからカザフスタンの5.98 gまでの範囲であった。平均寿命は中央アフリカ共和国の42.7歳からシンガポールの74.8歳で、60歳の平均余命はシエラレオネの9.8年から日本の9.8年であった。寿命は4 – 5 g/dのナトリウム摂取量(塩摂取量10 – 12.5 g/dに相当)に沿って増加する傾向であった。その域値以上では平均寿命は横ばいになり始め、最終的には摂取量が増えると低下した。
ナトリウム摂取量と平均寿命との関係に影響を及ぼす諸国間の社会経済的差異をさらに説明するために、研究者達は高所得諸国46ヶ国に限った感度解析を行った。ナトリウム摂取量は健康平均余命とポジティブに関係(1 g増加当たり3.4年)しており、全死因による死亡率と逆相関(1 g増加当たりで168件少ない)していた。60歳の平均余命との関係はもはや有意でなかった。
研究は「ナトリウム摂取量が寿命を縮める原因または早死の危険因子であることに反対している。」とメッセルリらは書いている。彼等は言っている。結果は「ナトリウム摂取量と血圧との直接的な関係を示す多くの研究を考慮して驚くべきことである。しかし、ほとんどの研究で、ナトリウム摂取量と血圧との間の関係の勾配はむしろ緩やかである。」
EHJの最近のレビューを指して、世界でほとんどの人々は2.3 – 4.6 g/dと言う中程度のナトリウム量を摂取しており、摂取量が5 g/dより多くなった時だけ心血管疾患危険率は増加することを研究は示唆している、と彼等は書いている。
しかし、研究に潜在的な混乱因子の数が多くの多いことを承知しているメッセルリらは、時間が経つにつれて計画あるいは食事勧告を控えるようになっており、難しいエンドポイントのエビデンスがないにもかかわらず、減塩に関して再び不適切に行われた。ナトリウム摂取量を変えることは結局、平均寿命または全死因による死亡に影響を及ぼすかどうかは、個人的にあるいは国レベルで不明のままで、現在のデータから推論できない。
それでも論文は減塩支持者達から辛辣な反応を受ける可能性がまだある。「これは実際に私の経歴の中で最も拒否された論文である。」とメッセルリは言って、EHJ誌で読むまでに8回反論された。「減塩伝道者達は強力なグループで、明らかに彼等は論文を嫌っており、発表されることを望んでいなかった。」