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塩は悪者? 新しいPURE研究解析は低塩摂取量に反対議論をする

Faulting Salt? New PURE Analysis Argues against Low Sodium Intake

By Todd Neale

https://www.tctmd.com/ より  2018.08.10

 

しかし、いわゆる塩戦争を解決するにはランダム化比較試験が結局必要であると言う主張が大きくなっているようである。

 

減塩提案ともっと中程度の摂取量を主張する提案との間で進んでいる論争で別の一斉攻撃がPURE (都市と農村における前向き疫学調査) 研究からの新しいレベル解析の形で火がついてきた。約7.6 – 12.7 g/dの塩摂取量は心血管疾患危険率に関して“最適値”であるという考え方を解析は支持している。

 心血管疾患と脳卒中の危険率は塩摂取量に沿って増加したが、その関係は平均して12.9 g/d以上の塩摂取量社会でのみ観察された。低い平均摂取量では、心筋梗塞と死亡の危険率は塩摂取量が多くなるほど減り、塩と脳卒中との関係はもはや有意ではない、とアンドリュー・メンテ(カナダ、ハミルトン、人口衛生研究所)が率いる研究者達は2018811日出版のランセットに発表された研究で報告している。さらに、塩摂取量とは関係なく多いカリウム摂取量は結果の改善と強く関係していた。“我々の結果は明らかにしたことは、彼等が我々の前の結果を再確認することである…前の結果は、約7.6 – 12.7 g/dの塩摂取量が最低の危険率と関係している最適量であるように思える、”とメンテはTCTMDに語った。“平均摂取量は塩摂取量について心配する必要はないとの委員会の意見で、多くのカリウムを含む食品をもっと食べることによって食事の総合的な品質を改善することに我々は集中することが最善である。それが最低ラインである、”と彼は付け加えた。しかし、塩摂取量に関するアドバイスはWHOの勧告値と違っている。WHO5.1 g/d以下を勧めており、アメリカ心臓協会は5.8 g/d以下と理想的な限界の3.8 g/dを勧めている。

 研究についての論説共著者であるフランツ・メッセルリ(スイス、ベルンの大学病院)によると、そのような摂取量を長期間人々が維持することを期待できる理由がないので、両機関は彼等の勧告値を再考すべきである。“3.8 g/dの塩摂取量は正に全く現実的ではない。喜んでそうし、何週間、何ヶ月、何年間もそうできる患者を私はまだ見たことがない。そのことは起こらない、”と彼はTCTMDに語った。高い平均塩摂取量(12.7 g/d以上)の委員会に関して減塩努力に焦点を置いた-メンテらの論文で主張したアプローチは“合理的な方法”であるとメッセルリは言った。“-全ての人々が減塩すべきである-と何年間も我々が教えられてきたことは間違いである。一度、高血圧になる、あるいは脳卒中の危険性がある…塩摂取量をある程度減らすことが多分、良い考えであることを我々は同意すべきである。しかし、そうではなく、我々が摂取する塩の量に関してかなり自由であると私は思う、”と彼は言った。

 驚くことではないがアメリカ心臓協会は同意しない。機関からのeメール声明で、アメリカ心臓協会のボランティアであるフランク・サックス(マサチューセッツ州、ボストンのハーバード公衆衛生校)は次のように言った:“ほとんどのアメリカ人は身体の必要量以上に多くの塩を摂取している。ほとんどのアメリカ人はどれくらい多く摂取しているかもしれない理解している。膨大な多様な研究は、塩摂取量を下げることが血圧を下げ、そのことが命を救う、と我々に言っている。”サックスは塩摂取量を調査するための多数の24時間尿測定値の欠如や逆相関の問題を含め-結果の精度に影響を及ぼすこの研究のような研究の幾つかの限界を列挙した。“このような研究が高塩摂取量の有害性に関する強い科学的根拠に基づく真実から我々をそらさないようにしよう。塩摂取量を下げることは、健康を改善し、命をも救う。アメリカ人が摂取している塩の大部分(70%以上)は加工食品、包装食品、レストランの食事から来る。我々は我々に提供する食品を変える必要があり、そのことは社会、医療提供者、政府、専門機関が共同で作業しなければならないことを意味している、”とサックスは言う。

 

高塩摂取量は中国社会に集中していた

 この新しい解析のために、メンテと同僚達は基準線で心血管疾患のない35 - 70歳の成人に関するPURE研究に参加している21ヶ国中の18ヶ国からのデータを調べた。彼等は早朝空腹時尿から地域社会のナトリウムとカリウム摂取量を計算し、血圧(369地域社会の住人95,767人で)と心血管疾患結果および死亡率(255地域社会の住人82,544人で)との関係を調べた。高塩摂取量は他の諸国よりも中国でより多く見られた。中国では地域社会の80%が12.7 g/d以上の平均塩摂取量で、一方、他の地域社会の大多数(84)7.6 – 12.7 g/dの平均塩摂取量であった。

 地域社会で2.5 g/dの塩摂取量増加は収縮期血圧で2.86 mmHgの平均上昇と関係していたが、その関係は最高塩摂取量地域でのみ見られた。同様に、平均塩摂取量増加と同様に総合的な心血管疾患と脳卒中の危険率も関係していた。しかし、再びその関係は最高の四分位塩摂取量(12.9 g/d以下)でのみ観察された。心筋梗塞については、塩摂取量と最低四分位数(11.3 g/d以下)の危険率との間には逆相関があり、全ての死因については低い2つの四分位数で危険率と逆相関があった。“人口全体のアプローチではなく、高い平均塩摂取量(12.7 g/d以上)の地域社会と諸国の参加者に目標を当てたアプローチは心血管疾患(と脳卒中)の低下を改善するかもしれないことを我々のデータは示唆している、”とメンテらは書いている。“そのようなアプローチは低塩摂取量の地域社会への資源の転用を避け、そこでは診療発生率の増加との相関は見られず、血圧との関係している人々はわずかであった、”と彼等は説明する。“低塩摂取量と心筋梗塞や死亡増加率との間の逆相関が現実であれば、そのような目標を定めた戦略は平均塩摂取量の人々で減塩による有害性の可能性を最少に出来る。”

 

問題解決のために監獄へ

 塩論争の両側が固定化されたように見えると、如何にしてそれを解決するかが疑問となる。メンテらによると、低塩摂取量ともっと中程度の摂取量との比較をするランダム化比較試験が必要であると言う一致した意見が大きくなっているように見える。そのような研究を行うには監獄が理想的な設定条件となるかもしれないことを示唆したHypertensionの先月号で発表された論文を彼は指摘した。“大規模なランダム化比較試験が必要であるというコンセンサスが増えていることは非常に心強く、結局、それが論争を解決するには必要なことである、”とメンテは言った。彼は“履歴から現在の勧告値をどのように本当に強く言えるようにする研究方法として囚人が提案された”ことを付け加えた。

 メンテとメッセルリは2人とも同意していることは、どれくらい多くの塩を摂取しているかを注意深く管理する試験を行うことは全人口では不可能である。“それは行えない、”とメンテは言った。“我々はスモークサーモンを好み、ビッグマックスや全ての塩辛い食品を好み、これが全人口で起こることはあり得ない。”

 ランダム化比較試験からの結果を待っていながら、注意して進めることが一番良い、とメンテは言った。塩に焦点を置く代わりに、我々は“食事の総合的な品質を改善することに代わりの焦点を置くべきで、人々に果物や野菜、酪農製品、ポテト、豆類、ナッツ類のようなよりカリウム含有量の多い食品を食べるべきである。”

 中国の多くの地域社会のように非常に高い塩摂取量社会では、減塩することに利益があるであろうが、“しかし、中程度摂取量社会を低い摂取量に下げるためには、利益をもたらすエビデンスはなく、有害かもしれないと言う多くのエビデンスがある、”と彼は付け加えた。