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淡水化装置が塩水から飲料水を生成する

Desalinator Produces Drinking Water from Salt Water

By Caroline Majewski

https://savethewater.org/      2024.08.24

 

水ろ過は何世紀にもわたって行なわれてきたが、技術の進歩に伴い、その効果も拡大している。キングス・カレッジ・ロンドンの科学者達は、新たな時間可変型電気透析逆転技術を開発した。他の研究者と協力し、既存の技術を基盤として、太陽エネルギーを利用した淡水化プロセスを改善した。

 

塩水を飲料水に変える

 研究者達が用いたプロセスは電気透析と呼ばれるものである。電気透析は膜を用いたプロセスで、イオンは半透膜を通して輸送される。このプロセスでは、塩は様々な段階を経る:

  特殊な膜を用いて原水から塩を分離する

  塩イオンを塩水の流れに送る

  飲料水が残る

つまり、海水から塩を除去することで、飲料水として利用できる水が作られる。

 

利点

 このシステムの利点の一つは、利用可能な日照量に応じて処理方法を調整できることである。電気透析逆転技術プロセスの使用方法を変更できるため、飲料水の生産量を損なうことなく稼動できる。

 電気透析逆転技術モジュールは電界を利用して膜チャネル間でイオンを移動させる。このプロセスでは、電界を反転させることで膜への蓄積を防ぐ。そのため、自己洗浄機能を備え、脱塩水の回収を安定的かつ迅速に行なうことができる。

 その他の利点としては、以下のものはある:

  濁度許容度の向上

  シリカはまくに影響を与えずに流れる

  高い回収率により運用コストを削減

  処理前の処理量を削減

農村部では、送電網が未整備か、信頼性が低いことがほとんどである。他のモデルでは、高価な電池を使用するか、系統接続システムを利用して塩分除去のためのエネルギーを供給している。この新技術は、太陽光発電電池のようなものを使用することで、この問題を回避する。その結果、この組み合わせにより、世界各地でより信頼性の高いアプリケーションが実現する。

塩水の利用は有望な解決策ではあるが、塩分の蓄積と排出処理に伴う信頼性の問題がある。

 

応用

 科学者達はまず、インドの村で収集したデータを用いた。その後、ニューメキシコ州の町で状況と環境を再現し、1日最大3,000人分の水を変換した。

 彼等はより多くの農村地域でこのプロセスをテストし、有益な結果を得た:

  飲料水供給量の増加

  排出ガスゼロ、密閉型電源搭載

  汚染された水源にも対応

これは、汚染などによる水不足の緩和に役立つ。約20億人が水と飲料水の供給不足に直面している。世界人口の3分の2にあたる約40億人が、毎年少なくとも1ヶ月間水不足を経験している。さらに、この数は増加し続けている。

 

将来の可能性

 この技術は農業にも活用できる。不安定な灌漑用水源しかなかった場所の水源として活用できると期待されている。また、化石燃料の使用量を削減するために、他の場所でも活用できる。

 キングス・カレッジ・ロンドンの科学者の一人であるHe博士は「我々の次のステップは、この低コスト技術を、廃水処理や、海洋のアルカリ度を高めて大気中の二酸化炭素吸収を促進するアルカリ生成など、他の分野に適用することである。このアプローチにより、農業の脱炭素化だけでなく、環境と気候に対するより広範なメリットも得られる。」と述べている。