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陰極のない安定したナトリウム電池

A Stable Sodium Battery, without the Anode

By Mark Hutchins

https://www.pv-magazine.com/  より   2021.05.05

 

アメリカの化学者達は陰極のないナトリウム・イオン電池を実証した。これはサイクル当たりの初期容量の99.93%を保持していた。それらの設計は液体電解質中の水分含有量を注意深く最小限に抑えることにより、電池に「純粋な」アルカリ金属を使用する行動を取るに関連する安定性の問題の多くを克服することができた。

 

 陰極のない電池、またはアルカリ金属陰極材料を組み込んだ電池は、電池技術を改善するための多くの可能な経路の1つを提供する。ただし、このタイプの電池は安定性に深刻な問題を示す傾向があり、デンドライトの形成はすぐに短絡または大幅な性能低下につながる。

 これに対する解決策として、ほとんどの場合リチウム金属陰極を組み込んだ全固体電池が徹底的に研究されている。しかし、セントルイスのワシントン大学が率いる科学者達は液体電解質ベースのナトリウム・イオン電池を使用して、印象的な安定性を示して作動する無陰極電池を製造できる新しいアプローチを実証した。「問題はこのよく知られた化学的性質により、この無陰極電池が妥当な寿命を持つことができることを誰も示したことはない。」とワシントン大学の助教授であるPeng Baiは説明した。「それらは常に非常に速く故障するか、容量が非常に少ないか、または電流コレクターの特別な処理を必要とする。」

 ワシントン大学で設計された電池はAdvanced Scienceに掲載された、顕微鏡光学操作実験によって確認された動的界面安定性が高保持率の無陰極Na金属フルセルを可能にするという論文に掲載されている。これは陰極側の銅箔集電体、ナトリウム-バナジウム・ベースの陽極、およびナトリウム-フルオロホスフェート液体電解質で構成されていた。

 電池は1サイクル当たり99.93%の容量保持率を達成した。「我々の発見では、樹状突起や指のような構造ではない。」と論文の筆頭著者であるBingyuan Maは述べている。「この種の成長モードは、この種のアルカリ金属では観察されたことがない。」

乾燥と透明性

 このグループは少なくとも部分的には電解質の乾燥プロセスが長くなり、水分含有量が最小限に抑えられたことに成功したと考えている。「水分含有量は10 ppm未満でなければならない。」とBaiは述べている。

 このグループはまた、透明な毛細管セルと呼ばれる物を設計することにより、電池で機能しているメカニズムをより良く観察することができた。これにより、動作中のセルをより簡単に観察できるようになった。以前の研究では、何が起こったのかを解明するために、事後に電池を分解する行動を取るに依存していた。「本当に重要なのは動的プロセス中の不安定性であり、それを特徴付ける方法はない。」とBaiは付け加えた。「電解質の品質管理が適切でない場合、デンドライトの形成など、様々な不安定性が見られることが明確に分った。」

 このグループは、その研究は無陰極電池の設計に関して以前に認識されていた知識の多くを覆すはずであり、将来の研究は液体電解質電池の他の金属陰極の成長に拡張できると述べている。「我々の研究は、液体電解質中のアルカリ金属の理想的な界面安定性を達成する可能性と重要性を証明した。」と彼等は結論付けた。