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ナトリウム電池の楽観的だが現実的な展望

An Optimistic – but Realistic – Perspective for Sodium Batteries

By Emiliano Bellini

https://www.pv-magazine.com/  より   2020.09.24

国際的な研究者達はナトリウムをベースにしたエネルギー貯蔵の可能性を分析し、最近の技術進歩は30年間研究されてきたリチウム・イオン電池の進歩より早く到達したことを明らかにした。しかし、ナトリウムがリチウムの補完的な選択肢となる前に問題が残っている。

      ナトリウム・イオン電池はリチウム・イオン電池と比較した新しい論文に

よると、定置型エネルギー貯蔵で主な用途が見出せる可能性がある。

画像:ウォーリック大学

 

 ヨーロッパの機関の研究者達はナトリウム・イオン電池がリチウム・イオン電池の補完的な選択肢となるかどうかを評価しようとしている。

 イギリスのウォーリック大学;ドイツのヘルムホルツ研究所ウルムとベルリンのフンボルト大学;フランスの機関、College de France, Université de Picardie Jules Verneおよびボルドー大学(フランス);ノルウェーのエネルギー技術研究所およびスペインのCIC energiGUNEの研究者達はJournal of Power Sourcesに発表された「将来のナトリウムをベースにした電池についての今日の挑戦:材料からセル・マトリックスまで」と題する論文で彼等の結果を発表した。

 このグループはナトリウム・イオン電池の電池材料と電解質システムを分析し性能指標と指標を推定した。「ナトリウム・イオン・セルに利用できる現在最良の材料の継続的な開発により、現世代のリチウム・イオン商用セルのエネルギー密度に近づくことができるはずである。」と論文は述べている。研究者達はナトリウム電池用の陽極材料の開発はリチウム・イオン電池用に開発された化学から得られた洞察により急速な成長を遂げた、と述べた。

 層状酸化物、ポリアニオン化合物、プルシアン・ブルー類似体は陽極の最も有望な材料として強調され、エネルギー密度、レート能力、サイクル性、コスト、実行可能性の観点から3つの材料ファミリーの利点と課題が評価された。

 学者達はまた、炭素およびチタン・ベースの酸化物、合金化合物、変換タイプの材料、および混合合金・変換システムを含む挿入ベースの陰極用の5クラスの材料を分析した。

 論文によると、ナトリウム・イオン電池は定置型エネルギー貯蔵に最も有望である可能性がある。「この分野では、ナトリウム・イオン電池が将来の市場を支配する可能性があり、エネルギー供給を確保することでエネルギーの生産と利用のギャップを埋める最も有望なシステムを表している。しかし、電気自動車分野での高出力用途はナトリウム・イオン電池の潜在的なニッチ分野用途である。」と研究の共著者であるイバナ・ハサは述べている。

 ナトリウム-空気電池(Na/O2)、ナトリウム-硫黄貯蔵(Na/S)技術および全固体ナトリウム電池(Na-ASSB)は他の有望なナトリウムをベースにした貯蔵解決策として言及された。「しかし、重要な進歩にもかかわらず、それらの技術的準備レベルはまあ適用には程遠い。現時点では、ナトリウム電池のみがリチウム・イオン電池の真剣な競争相手と見做すことができ、将来の環境に優しく安全で、実行可能、低コストのエネルギー貯蔵技術のパラダイムになる可能性がある。」と論文は述べた。

 ナトリウム・イオン電池の高電圧、容量、寿命、高率能化を向上させるにはさらに多くの作業が必要であると指摘した研究者達は競合する貯蔵技術の予備的なライフサイクル評価も実施し、ナトリウム・イオン電池はリチウム・イオン電池と比較していくつかの生態学的利点を提供すると結論付けた。