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ナトリウム・イオン電池は数秒で充電可能

Sodium-Ion Battery Could Charge in Several Seconds

By Marija Maisch

https://www.pv-magazine.com/  より   2024.04.25

 

韓国科学技術院(KAIST)の研究者達は、わずか数秒で充電可能な高エネルギー、高出力のハイブリッド・ナトリウム・イオン電池を発見した。このシステムは、電池に通常使用される陽極材料とスーパー・キャパシタに適した陰極を統合している。

 

 ナトリウム・イオン電池エネルギー貯蔵システムは、どこにでもあるリチウム・イオン電池に比べて安全性、原材料費、環境面で優れていることから、大きな注目を集めている。しかし、この技術が既存の技術に挑戦するのは、技術的性能の向上、サプライチェーンの確立、規模の経済の実現によってコストが削減されるからであろう。

 ナトリウム・イオン電池エネルギー貯蔵システムは、ナトリウム・イオン電池とナトリウム・イオン・コンデンサーの2種類がある。前者は電力密度が低いという欠点があるが、エネルギー密度は比較的高い。一方、後者は電力密度が高いものの、エネルギー密度は極めて低い。そのため、コンデンサー型カソードと電池型アノードを組み合わせ、両方の長所を融合させたナトリウム・イオン・ハイブリッド・エネルギー貯蔵セルは、活発な研究分野となっている。

 現在、KAISTの研究者達は、超高エネルギー密度と急速充電が可能なSIHESシステムを実現するための戦略を報告している。彼等は、ハイブリッド電池の最適な合成のために、2つの異なる金属有機構造体を活用した。

 彼等のアプローチは、金属有機構造体由来の多孔質炭素に微細活性材料を組み込むことで、運動特性が改善されたアノード材料の開発につながった。さらに、高容量のカソード材料が合成され、カソード材料とアノード材料の組み合わせにより、SIHESシステムの開発が可能になり、バランスが最適化され、電極間のエネルギー貯蔵率の差が最小限に抑えられた。

 研究者達は、新しく開発されたハイブリッドは、市販のリチウム・イオン電池のエネルギー密度を超え、スーパー・キャパシタの電力密度の特性を示していると報告している。

 具体的には、SIHES247 Wh/kgのエネルギー密度と34,748 W/kgの急速充電可能な電力密度を実証し、電池タイプの反応を100倍以上上回った。また、5,000回の充放電サイクルで約100%のクーロン効率でサイクル安定性も実証した。

 KAISTの研究者達は、電気自動車からスマート電子機器、航空宇宙技術まで、新しいSIHES技術の幅広い用途を期待している。

 彼等は、最近、Energy Storage Materialsに掲載された「高性能ナトリウム・イオン・ハイブリッド・エネルギー貯蔵のための、3D多孔質Nリッチ・グラファイト・カーボン・フレームワークの低結晶性導電性多価鉄硫化物埋め込みSドープ・アノードと高表面積Oドープ・カソード」でその研究結果について議論した。