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KPIT、エネルギー密度最大170 Wh/kg

ナトリウム・イオン電池を発表

KPIT Unveils Sodium-Ion Battery with Energy Density of up to 170 Wh/kg

By Marija Maisch

https://www.pv-magazine.com/  より   2023.12.19

 

インドを拠点とする自動車ソフトウェアおよびエンジニアリング・ソルーションのサプライヤーであるKPITは、独自のナトリウム・イオン電池技術を発表し、現在、製造パートナーを探している。KPIT会長のRavi Panditpv magazineに対し、同社はエネルギー密度が100 Wh/kgから170 Wh/kgの範囲で、潜在的には220 Wh/kgに達する可能性がある複数のバリエーションを開発していると語った。

 

 ナトリウム・イオン電池の価格は今年再び下落軌道に戻ったが、有望なナトリウム・イオン電池への関心は衰えていない。最近では、インドに拠点を置くKPITがナトリウム・ベースの電池技術を開発し、この技術を製造および商業化できる見込みのあるパートナーにライセンス供与する予定である。

 KPITは世界の自動車分野における主要OEM向けの電動化プログラムのソフトウェア開発、統合、検証に必要な足場を築いており、Puneに拠点を置くインド科学教育研究研究所と協力してこの技術を開発した。科学チームは材料の合成、特性評価、電池のレストに貢献した。

 「リチウム鉱床は世界のごく限られた場所に集中しており、リチウムの加工は12ヶ国に集中している。それが約8年前に我々がリチウムの代替品を検討し始めた理由であり、世界中で潜在的に入手可能なそれらの代替品に注目したかったため、ナトリウム・イオン技術に取り組みはじめた。」とKPIT会長のRavi Panditpv magazineに語った。

 これまで同社は、明確な性能特性と100170 Wh/kgの範囲のエネルギー密度を備えたナトリウム・イオン技術の複数のバリエーションを開発してきた。

 「我々がナトリウム・イオン電池の開発に取り組み始めたとき、当初のエネルギー密度の期待は非常に低かったが、我々や他の企業が実施してきた開発のお陰で、過去8年間でエネルギー密度は上昇している。」とPanditは言う。

 KPITのナトリウム・イオン電池の現在のバージョンは110 Wh/kgのエネルギー密度を持ち、炭素ベースの陰極とポリアニオン性陽極を備えている。

 「我々はすぐに電力密度などのナトリウム・イオン化学の複数の利点に気付いた。3C充電を使用すると、ナトリウム・イオン電池を20分以内に100%充電でき、それでも長寿命を実現できる。」とPanditは言う。「我々はこのような積極的な充電で約4,0005,000サイクルにわたってセルをテストしてきた。しかし、現実の世界では、常に3C充電を行う必要はなく、常に100%まで充電する必要もないため、実際のサイクル寿命はさらに長くなる可能性がある。」

 Panditによると、KPITにはエネルギー密度135 Wh/kg、さらには170 Wh/kgの電池もあり、安定した動作を示している。しかし、後者は3,000サイクル実行されない。「陰極と陽極のさまざまな組み合わせにより、最大220 Wh/kgまで到達できると考えている。これは、リチウム- リン酸鉄-リチウム・イオンの化学反応に非常に近い値である。」とPanditは言う。

 電力密度と長寿命の特典、リチウム・イオン電池容量も速い充電に加えて、Panditはナトリウム・イオン電池技術のもう1つの利点として、最小限の熱管理による優れた氷点下および高温耐性も強調している。

 「リチウム・イオン電池とは異なり、ナトリウム・イオンはゼロまで放電でき、安全に輸送できる。」と彼は付け加えた。

 ナトリウム・イオン技術には自動車やモビリティ、特に電動二輪車や三輪車、商用車などにいくつかのユース・ケースがある。また、USPバックアップや送電網蓄電池などの定置型導入や海洋および防衛分野でも有望な用途がある。

 「我々が事業を開始したとき、主にナトリウム・イオン技術の電気自動車への応用を検討していた。なぜなら、我々の主な焦点は都市のモビリティにあるからである。」とPanditは言う。「この技術には、共有交通機関だけでなく、個人の車両にも大きな可能性があると考えられている。ナトリウム・イオン電池と燃料電池を組み合わせるのは、長期間のヘビー・デューティ用途にとって特に興味深いものである。」

 KPITは化学を基礎から開発したため、様々な種類の用途に合わせて容易に調整できる。「1.5Cでの充電で60または70 Wh/kgのエネルギー密度を見ると、20,000回の充放電サイクルが容易に期待でき、送電網規模の貯蔵用途に最適である。」とPanditは述べている。

 KPITはすでにサプライチェーン・パートナーのネットワークを確立しており、OEMクライアントも含む製造パートナーを現在、積極的に探している。

 「当社の技術は、リチウム・イオン電池用の完全なドロップ・イン技術として開発されたため、ナトリウム・イオン電池を製造するために同じ製造ラインを使用するために、前駆体段階または混合段階でわずかな修正が必要なだけである。」とPanditは述べている。「これはパートナーの準備状況に応じて、製造工場の設立に1012ヶ月かかる考えていることを意味しており、商業的な意味での立ち上げにはそれがかかる時間となる。」

 Panditによると、KPITはすでに10 MWの生産ラインでプロトタイプ製造を行うドイツの企業と連絡を取り合っており、ギガワット規模まで拡張できるという。

 「ナトリウム・イオンは2030年以前でも自動車分野で多くの役割を果たすと信じており、2年後にはかなりの規模になるであろう。」と彼は言う。「定置型蓄電の用途では、可能性は非常に大きくなる。大規模ナトリウム・イオン電池の価格帯に匹敵できるのは揚水発電のみである。」

 最新技術の発表前、KPITは主に電池管理システム、電池のパッケージング、および電動パワートレイン全体の作業に従事していた。さらに、燃料電池にも取り組んでおり、Panditによると、近い将来に正式に発売される予定であると言う。