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高エネルギーナトリウム電池用の硬質炭素

Hard Carbon for a High Energy Sodium Battery

By Mark Hutchins

https://www.pv-magazine.com/  より   2021.01.08

 

日本の科学者達はナトリウム・イオン電池の容量を大きく増加できる硬質炭素電極を示した。長期間性能に関する将来の研究で、この発見はリチウム・イオン電池対象品のエネルギー密度と競争できるようにナトリウム・イオン電池をより良くする。

 

 ナトリウム・イオン電池は有望なエネルギー貯蔵技術であり、既に限られた固定貯蔵分野では商業化されている。そしてナトリウム・イオンははるかに安価で豊富な材料に依存しており、リチウム・イオン電池の代替品となるため研究者達から多くの注目を集めている。

 エネルギー密度に関しては、ナトリウム・イオン電池はリチウム・イオン電池よりも少し悪い。これは、電池の大きさと重量が重要な関心事である電気自動車や家庭用電化製品などの用途には実用的ではないと広く見做されていることを意味する。しかし、東京理科大学の科学者達による新しい発見はこの仮定を真っ向から変えるように設定できる。大学のグループはナトリウム・イオン電池の容量を大きくするために炭素電極材料を検討し、多孔性の硬質炭素陰極を製造する技術を開発した。技術はAngewandte Chemie, International Editinに発表された論文「ナトリウム・イオン電池用の新しい硬質炭素陰極はリチウム難問を解決する」で述べられている。

 

酸化マグネシウム・テンプレート

 プロセスの鍵は孔の大きさと構造用のテンプレートとして酸化マグネシウム(MgO)の使用である。MgO粒子が炭素マトリックス内に形成され、酸浸出する前に600 ℃で前処理し、1500 ℃で炭化プロセスを完了する。MgOテンプレートを最適化し、理想的な製造条件を計算するための一連の実験後、グループは1グラム当たり478 ミリアンペア時の容量、および最初のサイクルで88%のクーロン効率(電荷移動効率)の硬質炭素を製造できた。

 東京理科大学の駒場慎一教授は、この材料について前に報告された最高値は438 mAh/gであり、これはより高温処理でも達成された、と述べている。東京理科大学が提案した計算値は、この陰極を使ったナトリウム・イオン電池は今日の標準的なリチウム・イオン電池よりもわずかに低い電圧差で動作したが、それでもエネルギー密度で約19%増加(1600 Wh/kg1430)を達成したことを示している。「我々の研究は、高エネルギーのナトリウム・イオン電池を実現することは可能であり、リチウム・イオン電池はより高いエネルギー密度を持っていると言う一般的な信念を覆すことを証明している。我々が開発した極端に高い容量を持つ硬質炭素は新しいナトリウム貯蔵材料の設計に向けて扉を開いた。」と駒場は言う。

 研究中の他の電池概念は、東京理科大学がここで達成した物をはるかに超えるエネルギー密度を約束しており、この新しい概念からどれだけ多くの性能を引き出せるかは明らかでない。しかし、この研究により、研究者達はナトリウム・イオン電池で何が可能かを再考する必要性が生じる可能性がある。次の段階は、アプローチの実用性を評価し、材料が多くのサイクルにわたって安定性を維持し、少なくとも今日のリチウム・イオン技術に匹敵する寿命に達することができるかどうかを評価することである。