戻る

ナトリウム・イオン電池技術はイギリスで商業試験を受けている

Sodium-Ion Battery Tech Gets Commercial Testing in UK

By Marija Maisch

https://www.pv-magazine.com/  より   2022.01.21

 

ハーウェル・キャンパスは、イギリスを拠点とする3つの革新的な企業からのエネルギー貯蔵技術の試験品を提供し、それらの解決品を市場に一歩近付ける。

 

 イギリスを拠点とする電池製造者のAMTE Power、電池情報技術プロパイダーのBrill Power、およびエネルギー管理システムのスペシャリストであるStarke Energyは、イギリス、オックスフォードシャーのハーウェル・キャンパスにある商業規模の試験品で最新のエネルギー貯蔵技術を実演する。3つの技術は電池貯蔵システムに統合され、キャンパスにある科学技術施設評議会のオンサイト・ソーラー・アレイと結合される。これらのシステムの詳細は指定されていない。

 試験品はBrill Powerの電池情報技術を使用してAMTEのナトリウム・イオン電池モジュールを提供し、最適な電池使用量、寿命、性能、安全性を確保する。Starke Energyのエネルギー管理システムは、蓄積されたエネルギーを送電網と市場にリンクする。これらの技術が商業的に関連するプロジェクトに導入されるのはこれが初めてである。

 ハーウェルのエネルギー貯蔵システムは、今年3月から稼働する予定で、最低12ヶ月間稼働する。プロジェクトの第一フェーズでは、AMTE Powerはリチウム・イオン・セルを配備してから、プロジェクトの第二デモンストレーション・フェーズで同社のUltra Safeナトリウム・イオン・セル技術を使用するように切り替える。

 「我々の新製品を商業的な運用環境でテストする能力は非常に貴重である。ハードウェルのサイトにアクセスできることで、Ultra Safeセルを組み込んだ新エネルギー製品の市場投入までの時間が短縮される。」とAMTE Powerの事業開発ディレクターであるジョン・フックスは述べている。

 

Ultra Safe

 昨年、AMTE Powerはシェフィールドを拠点とするNaイオン電池のスペシャリストであるFaradionとライセンス契約を締結した。これは、最近、インドに本社を置く多国籍のReliance Industriesに買収された。イギリスを拠点とする2つの企業間の協力協定の下でAMTE Powerは定置型エネルギー貯蔵システム用のナトリウム・イオン・セルを製造および販売するための定義された使用分野および地域のライセンスを付与された。

 パートナーシップの背後にある考え方は、Faradionの特許技術を使用し、スコットランドのサーソにあるAMTE Powerの既存のリチウム・イオン製造施設をかつ移用することであった。AMTE Powerは安定性の向上と熱安全性の向上により、ナトリウム・イオン製品のUltra Safeをブランド化した。一方、Faradionの特許取得済みのゼロ-ボルト技術により、Ultra Safe製品は顧客とユーザーに安全な輸送とメンテナンスのオプションを提供できるようになった。

 Faradionの技術はより持続可能で手頃な価格でありながら、どこにでもあるリチウム・イオン化学と同様の性能を提供すると言われている。その技術は非常に拡大性があり、輸送、保管、バックアップ電源、遠隔地のエネルギーなどの様々な分野に適用できる。2010年に設立された同社は、セル材料、セル・インフラストラクチャー、安全性と輸送という3つの主要分野に焦点を当て、Naイオン技術の様々な側面をカバーする広範囲なIPポートフォリオを開発した。

 Faradionは、そのNaイオン・セルは既存の商用リチウム・イオン製造ラインで製造できると述べている。動作温度範囲は-30+60度である。「我々のセル化学は、ナトリウム・イオンに150160 Wh/kgの世界をリードするセル固有のエネルギーを提供する。」とFaradionCEOJames Quinnは昨年pvマガジンに語った。

 このプロジェクトはオックスフォード大学のスピン・アウトであるBill Powerの電池情報技術も含まれている。これは、独自の電池監視および分析ソフトウェア・プラットフォームによってサポートされ、性能、所用コスト、信頼性と安全性など、高度な電池システムのすべての側面を改善できると言われている。「この試験品により、当社の技術を他の最先端の電池革新と統合し、商業的に関連するサイトで実際のデータを収集できるようになる。」とBrill PowerCEO兼共同創設者のChristoph Birklは述べている。

 Starke Energyのエネルギー管理システムは、電池システムをハーウェルのローカル・エネルギー・ネットワークと統合する。このシステムは人工知能を使用して再生可能なソースによって生成されるエネルギーの量と、接続されたインテリジェント電池のネットワーク全体でエネルギーの貯蔵と放出を最適化するために使用されている量を学習する。

 ハーウェル・プロジェクトはIntereg North-West Europe STEPSプログラムの一部であり、中小企業の市場準備を加速するための財政的支援と支援を提供している。このプログラムでは、AMTEBrill StrakeはイギリスのSTEPSパートナーであるCambridge CleantechFaraday Institutionが提供する専門家によるサポートの恩恵を受けている。これには、カスタマイズされたテスト、潜在的なエンドユーザーへの紹介、および製品の競争力を強化するための市場知識が含まれる。

 ハーウェルの試験品はケンブリッジにあるAlliaFuture Business Centreにあるイギリスの2つ目を含む様々なSMEによって北西ヨーロッパ全体で開発されている20の試験品の1つである。世界で最も持続可能なリチウム・イオン電池を提供すると主張するイギリスの製造者Aceleronの電池システムを使用している。