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有機電極材料による超安定ナトリウム・イオン貯蔵

Ultra-Stable Sodium-Ion Storage via Organic Electrode Materials

By Marija Maisch

https://www.pv-magazine.com/  より   2021.12.10

 

中国のSoochow大学の研究チームは、水素結合有機フレームワークを使用して、ナトリウム・イオン電池をさらに持続可能で手頃な価格にし、寿命を10,000サイクル以上に延長した。

 

 商用用貯蔵用途で最も有望な技術の1つとして長い間宣伝されてきたナトリウム・イオン電池は、何処にでもあるリチウム・イオン電池と比較して製造コストが安く、環境に優しい原材料が豊富であるという利点がある。中国のSoochow大学の研究チームは水素結合有機フレームワークの助けを借りて化学的安定性を改善しながら、この技術を持続可能性とコストの面でさらに競争力のある物にする解決策を考案した。

 それらは、その優れた構造結晶性、大きな表面積、および多孔性のために多くの研究関心を集めてきたが、電気化学的用途における水素結合有機フレームワークの可能性は、溶液中で解離し、最終的には構造的完全性を損なう弱い水素結合のために捉えどころのないのもであった。

 中国の研究者達はマルチサイト水素結合を設計および導入することにより、この課題を克服した。すなわち、初めて水素結合有機フレームワークの2D分子シートが、マルチサイト水素結合を形成するためにジアミノトリアゾール・リンカーを使用して調製された。科学者達はAdvanced Scienceに掲載された論文「超安定ナトリウム・イオン貯蔵用の水素結合有機フレームワークの2D分子シート」でアプローチの詳細を説明している。

 彼等の製品は、優れた化学的安定性と一般的な有機溶媒への溶解性の低下を示し、他の有機電極材料よりもはるかに優れた1 A/g10,000サイクルを超える非常に長い寿命を可能にした。研究者達は、この技術が、エネルギー密度よりもコストと電池のサイクル寿命が重視される大規模な固定エネルギー貯蔵に使用できることを望んでいる。

 有機電極材料を使用するとナトリウム・イオン技術はさらに安価になるが、研究者達はコストを評価していないと述べている。「我々の研究は、水素結合有機フレームワーク内にマルチサイト水素結合を導入すると、化学的安定性が劇的に向上し、超長サイクル寿命が達成されることを示すことで、概念の証明に似ている。」と中国のSoochow大学の機能性ナノおよび軟質材料研究所のYanguang Li教授はpv誌に語っている。「この有機電極材料の実用的な実行可能性が厳密に証明されるまでには、まだ長い道のりがある。」

 研究努力の増加は、ナトリウム・イオン技術が遅かれ早かれ実現し、電池原料の供給制約を緩和する可能性を提供していることを示している。さらに、この技術の商業的ブレークスルーは、今年初めに工業生産の開始時に電池製造の重量級CALTから発表され、2023年までに第一世代ナトリウム・イオン電池の工業チェーンを安定される計画に続いて差し迫っているようである。