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ナトリウム電池の研究は樹枝状突起の形成に取り組んでいる

Sodium Battery Research Tackles Formation of Dendrites

By Marija Maisch

https://www.pv-magazine.com/  より   2021.12.09

 

ますます競争が激化する研究分野であるナトリウム電池は、豊富で環境に優しい材料に基づく、低コストでリチウムを含まないエネルギー貯蔵の代替品として浮上してきた。一対の新しい研究論文は、陰極での樹枝状突起の形成など、広く採用されるための残りのハードルのいくつかに対処している。

 

 リチウム・イオン電池技術の実行可能な代替品の競走が加速するにつれて、ナトリウム電池が最有力候補の1つとして浮上している。今年初め、電池製造のヘビーウェイトCALTは、2023年までに第一世代のナトリウム・イオン電池を商品化する計画を発表し、この技術を実験室から実際の製造世界に持ち込んだ。

 一方、研究室に戻って研究者達は、ナトリウム電池が主流になるのを妨げてきたいくつかの主要なハードルを解決するために頭を使っている。一対の新しい論文でテキサス大学オースチン校の2のグループが、同じ問題に取り組むために取った様々な経路を詳しく説明している。

 グループの1つは硫黄の溶解を防ぐことにより、ナトリウム硫黄電池の一般的な問題のいくつかを排除する新しい電解質を作成した。彼等は電解質の溶媒和構造を微調整することにより、硫黄陽極とNa陰極の両方で無機成分に富む固体電解質中間相を実現できることを実証した。

 これは硫黄から形成された中間化合物が、液体電解質に溶解して電池内の2つの電極間を移動するのではなく、「半溶解」状態野間まであることを意味する。シャトルとして知られているこのプロセスは、材料の損失、コンポーネントの劣化、および陰極での樹枝状突起の生長につながる可能性がある。デンドライトと呼ばれる針のようなフィラメントは、電池を急速に劣化させ、短絡させ、さらには発火や爆発を引き起こす可能性がある。

 新しい電解質は硫黄の溶解を停止することにより、Naポリサルファイド(NaPS)のシャトルを排除し、デンドライトを含まないNa金属のメッキとストリッピングを容易にする。これにより、電池のサイクル寿命を長くすることができ、300回の充放電サイクルにわたって安定した性能を示し、1サイクル当たり0.10%という低い容量フェードを示す。

 研究者達は、ポーチ・セルへの拡張性は、実用的な実行可能性の可能性を示している。と言う。彼等の調査結果はJournal of the American Chemical Societyに掲載された。

 他のグループまたは研究者達は樹枝状突起の形成に抵抗する充電式電池用の新しいナトリウム金属陰極を開発した。テルル化アンチモン・ナトリウム金属間-Na金属複合材料(NST-Na)と呼ばれる新しい材料は、100%の放電深度で、無陰極の金属電池としてのサイクリングを可能にする。理論的には、ナトリウム陰極の中で最も高いエネルギー密度を持っている。

 NST-Naは冷間圧延と折り畳みを繰り返すことによって作られる。これはナトリウム金属の薄いシートをテルル化アンチモン粉末上に巻き、それ自体を折り重ね、何度も繰り返すことを含む。研究者達は、このプロセスがナトリウム原子の均一な分布につながり、樹枝状突起や表面腐食を形成する可能性が低くなることを発見した。

 通常、電池内で電荷を運ぶナトリウム原子は、陰極よりも互いに強く結合する。そうすることで、不安定性、つまりより多くのナトリウム原子を引き付けて最終的に樹状突起につながるナトリウムの塊を形成する傾向がある。

 密度関数理論の計算を参照すると、研究者達は、NSTの独自性は、平面湿潤につながる表面上のNa原子(クラスターではなく)の熱力学的安定性と、サイクリング中の分解を防ぐ独自の安定性にあると述べている。その結果、これにより電池がより安定し、リチウム・イオン電池の充電率に匹敵するより速い充電が可能になる。

 「我々は基本的に一度に2つの問題を解決している。」と新しい材料を設計したコックレル工科大学のウォーカー機械工学および応用研究所の教授であるデビッド・ミトリンは述べている。「通常、充電が速いほど、これらの樹枝状突起が多く成長する。したがって、樹枝状突起の生長を抑えると、突然に安全になるため、充電と放電をより速く行うことができる。」

 科学者達はその結果をAdvanced Materials誌に発表した。