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新しい研究は最高エネルギー密度の全固体電池が今や可能であることを示す

New Research Shows Highest Energy Density All-solid-state Batteries Now Possible

By Tohoku University

https://phys.org/より  March 25, 2019

 

 東北大学と高エネルギー加速器研究機構の科学者達は、今までで最高のエネルギー密度を持った全固体電池に由来する新しい複合水素化物リチウム超イオン伝導体を開発した。水素クラスター(複合陰イオン)の構造を設計することによって達成された新しい材料はリチウム金属に対して著しく高い安定性を示し、リチウム金属は全固体電池用の究極の陰極材料になるだろう。

 リチウム金属陰極に組み込んだ全固体電池は通常のリチウム・イオン電池のエネルギー密度問題に取り組む可能性がある。しかし、今まで、実際の電池にそれを使用することは、リチウム金属に対する固体電解質の不安定性によって主として引き起こされる高リチウム・イオン移動抵抗によって制限されてきた。リチウム金属に対して高いイオン伝導度と高い安定性を示すこの新しい固体電解質はしたがって、リチウム金属陰極を使う全固体電池用の本当のブレークスルーを表している。

 この開発は複合水素化物に基づくリチウム超イオン伝導体を発見するために一層の努力を鼓舞するだけでなく、高エネルギー密度電気化学装置の開発に導くかもしれない固体電解質材料の分野で新しい傾向も開発することを我々は期待している、と東北大学の折茂慎一研究グループのSangryun Kimは言った。

 

背景:

 全固体電池は電解質漏洩、可燃性そして限られたエネルギー密度のような現在のリチウム・イオン電池固有の欠点を解決するための将来有望な候補である。リチウム金属は全固体電池用の最終的な陰極材料であると広く信じられている。それは既知の陰極材料の中で最高の理論的容量(3860 mAhg-1)と最低の電位(-3.04 V対標準水素電極)を持っているからである。

 イオン伝導度と固体電解質の安定性が電池性能を決めるので、リチウム・イオン伝導固体電解質は全固体電池の鍵となる成分である。問題は、ほとんどの既存固体電解質は化学的/電気化学的に不安定で/またはリチウム金属に対して物理的な接触が悪く、界面で必然的に好ましくない副反応を引き起こすことである。これらの副反応は界面抵抗を増加させる結果となり、反復充放電中に電池性能を大きく劣化させる。

 リチウム金属と界面の接触を改善するような戦略を提案した前の研究で明らかにしたように、この劣化工程の扱いは非常に難しい。副反応の起源がリチウム金属陰極と電解質との高い熱力学的反応性にあるからである。リチウム金属陰極を使うための大きな挑戦は高い安定性と固体電解質内の高いリチウム・イオン伝導度である。

 “リチウム金属陰極に対して水素化物の優れた化学的、電気化学的安定性のために、リチウム金属陰極に関係した問題の取り扱いに複合水素化物は多くの注目を集めている、”とKimは言った。“複合水素化物の低いイオン伝導度のために、リチウム金属陰極の複合水素化物を使うことは実際の電池に試みられてこなかった。そこで我々は、室温でリチウムの超イオン伝導度を示す複合水素化物を開発することがリチウム金属陰極の使用を可能にするかどうかを調べるために非常に動機付けられた。”