機械的に堅牢なナノセルラーグラフェンで
ナトリウム・イオン電池を改良
Improving Sodium Ion Batteries with Mechanically Robust Nanocellular Graphene
By Tohoku Unversity
https://phys.org/より 2024.04.08
2004年に発見されて以来、グラフェンは材料科学の分野の革命をもたらしてきた。グラフェンは1原子層の厚さの薄い六角形に結合した二次元の炭素原子シートで構成される。これにより、グラフェンは優れた物理的および化学的特性を備えている。
グラフェンは薄いにもかかわらず、驚くほど強く、軽量で、柔軟性があり、透明である。また、並外れた電気伝導性と熱伝導性、高い表面積、ガス不透過性も備えている。高速トランジスターからバイオセンサーまで、用途において比類のない汎用例を誇る。
ナノセルラーグラフェンは、グラフェンを複数層積み重ね、ナノスケールのセル形態で内部構造を制御することで、大きな比表面積を実現する特殊なグラフェンである。
ナノセルラーグラフェンは、電子機器、エネルギー機器、センサーの性能を向上させる可能性を秘めていることから、切望されている。しかし、その開発は、製造プロセス中に発生する欠陥によって妨げられてきた。ナノセルラーグラフェンを形成する際に亀裂が発生することが多く、科学者達は適切な規模で均質で亀裂のないシームレスなナノセルラーグラフェンを製造できる新しい処理技術を探している。
「溶融ビスマス中の非晶質Mn-C前駆体の液体金属脱合金化中に、炭素原子が急速に自己組織化して亀裂のないナノセルラーグラフェンになることを発見した。」と東北大学の大学院生Won-Young Parkは言う。この発見はAdvanced Materials誌に掲載されている。
脱合金化は、溶融塩金属浴中の合金成分の混和性の違いを利用する処理技術である。このプロセスでは、合金の特定の成分を選択的に腐食させ、他の成分は保護する。
Parkと同僚達は、この方法で開発されたナノセルラーグラフェンが黒鉛化後に高い引張強度と高い導電性を示すことを実証した。さらに、彼等はこの材料をナトリウム・イオン電池でテストした。
「開発したナノセルラーグラフェンをナトリウム・イオン電池の活性材料および集電体として使用したところ、航空宇宙技術レート、長寿命、優れた変形耐性が実証された。最終的には、ひび割れのないナノセルラーグラフェンを製造する当社の方法により、ナトリウム・イオン電池の性能と柔軟性を向上させることが可能になり、特にコスト、安全性、持続可能性の考慮が最も重要である大規模なエネルギー貯蔵や定置型電力システムなどの特定の用途において、リチウム・イオン電池の代替技術となる。」