彼等の塩の価値:研究者達は六角形のNaClの最初のケースを報告
Worth Their Salt: Researchers Report First Case of Hexagonal NaCl
By Skolkovo Institute of Science and Technology
https://phys.org/より 2020.05.25
SkoltechとMIPTの科学者達はダイヤモンド表面に新型の六角形のNaCl薄膜が存在することを予測し、実験的に確認した。これらの薄膜は電気自動車や通信器機の電界効果トランジスターのゲート誘導体として役立つ可能性がある。ロシア科学財団の支援を受けたこの研究はThe Journal of Physical Chemistry Lettersに掲載された。
有名な二次元炭素であるグラフェンは2004年に将来のノーベル賞受賞者であるAndre Geim とKonstantin Novoselovによって実験的に準備され、特徴付けられたため科学者達は興味深い特性を持つ他の二次元材料を調べ始めた。これらの中にはシリセン、スタネン、ボロフェン(それぞれシリコン、スズ、ホウ素の単分子層)、およびMoS2、CuO、その他の化合物の二次元層がある。
Skotech博士課程の学生Kseniya Tikhomirova、SkoltechのAlexander Kvashnin博士、SkoltechのArtem R. Oganov教授、MIPTはNaCl薄膜の初期の研究に基づいて、ダイヤモンド表面に異常なナノメーター厚の六角形のNaCl膜の存在を仮定した。「当初、基板がNaCl薄膜と強く相互作用する場合、薄膜の構造に大きな変化が期待できるという仮説に基づいて、様々な基板上での新しい二次元構造の形成の計算研究のみを実行することにした。確かに、非常に興味深い結果が得られ、ダイヤモンド基板上に六角形のNaCl膜が形成されることを予測し、実験を行うことにあいた。実験を行った同僚達のおかげでこの六角形のNaClを合成した。これは我々の理論を証明するものである。」と論文の筆頭著者であるKseniya Tikhomirovaは述べている。
研究者達は最初にOganovと彼の学生達によって開発された進化的アルゴリズムであるUSPEXを使用して、関与する化学元素のみに基づいてエネルギーが最も低い構造を予測した。六方晶NaCl膜を予測した後、X線回折および選択領域電子回折測定による実験的合成および特性評価を実行することにより、その存在を確認した。NaCl膜の平均厚さは約6ナノメーターであった。より厚い膜は、我々が知っている食卓塩に典型的な六角形から立方体の構造に戻る。
科学者達はダイヤモンド基板への強い結合と広いバンドギャップにより、六角形のNaClがダイヤモンドFETのゲート誘導体として上手く機能すると考えている。これは電気自動車、レーダー、通信器機での使用の可能性を示す電界効果トランジスターである。現在、これらのFETは通常、六角形の窒化ホウ素を使用している。これは同様のバンドギャップを持つが、基板への結合がはるかに弱いものである。
「我々の結果は二次元材料の分野がまだ非常に若いことを示しており、科学者達は興味深い特性を持つ可能性のある材料のごく一部しか発見されていない。立方体のNaCl薄膜を六角形のグラフェンのような膜に分割する方法を説明した2014年から長年の話がある。これはこの単純で一般的な化合物が一見良く研究されているように見え、特にナノスケールで多くの興味深い現象を隠していることを示している。この研究はNaClのような新しい材料を探すための最初のステップであるが、安定性が高く(溶解度が低く、熱安全性が高いほど)、エレクトロニクスの多くの用途で効果的に使用できる。」とSkoltechの上級研究員のAlexander Kvashninは述べている。
この研究より基板を使用した二次元材料の外観とその結果としての特性を制御する方法を理解することができる。この研究はまた、エレクトロニクスやその他の分野での潜在的な用途を備えたより多くの二次元材料への扉を開く。