研究者達は水から塩を除去する」膜を使用して海水を
燃料に「分割」するのを助ける
Researchers Use Membranes That Remove Salt from Water
to Help ‘Split’ Sea Water into Fuel
By Tim Schley, Pennsylvania State University
https://phys.org/より 2020.09.29
これはイオンの動きが逆浸透膜によってどの様に影響を
受けるかを視覚的に表した。
ペンシルヴァニア州立大学研究者達のチームによると、太陽、風、海の力が間もなく組合わさってクリーンに燃焼する水素燃料が生成される可能性がある。チームは水浄化技術を統合して電流を使用して水分子内の水素と酸素を分解する海水電解槽の新しい概念実証設計を行った。
環境工学のブルース・ローガン教授、カッペ教授およびエヴァン・ピュー大学教授によると、この「海水分解」の新しい方法により、風力と太陽エネルギーを貯蔵可能で持ち運び可能な燃料に変えることが容易になる可能性がある。「水素は素晴しい燃料であるが、それを作らなければならない。それを行うための唯一の持続可能な方法は再生可能エネルギーを使用して水から生産することである。また、人々が他の目的で使用したくない水を使用する必要がある。それは海水である。したがって、水素を生成するための聖杯は沿岸および沖合の環境で見られる海水と風および太陽エネルギーを組み合わせることである。」とローガンは言った。
豊富な海水にもかかわらず、水分解には一般的に使用されない。電解槽に入る前に水が脱塩されない限り(高価な追加ステップ)、海水中の塩化物イオンは有毒な塩素ガスに変わり、器機を劣化させる環境に浸透する。これを避けるために、研究者達はもともと逆浸透(RO)処理プロセスで水を浄化するために開発された薄い半透膜を挿入した。逆浸透膜は電解槽で一般的に使用されるイオン交換膜に取って代わった。「逆浸透の背後にある考え方は水に非常に高い圧力をかけ、それを膜を通して塩化物イオンを背後に残すことである。」とローガンは述べた。
電解槽では海水は逆浸透膜を介して押し出されるのではなく、逆浸透膜に含まれる。膜は外部電源によって接続された2つの水中電極(正に帯電した陽極と負に帯電した陰極)の近くで発生する反応を分離するために使用される。電源を入れると、水分子が陽極で分裂し始め、プロトンと呼ばれる小さな水素イオンを放出して酸素ガスを生成する。次にプロトンは膜を通過し陰極で電子と結合して水素ガスを形成する。
逆浸透膜を挿入すると、陰極側に海水が溜まり、塩化物イオンは大きすぎて膜を通過して陽極に到達できず、塩素ガスの発生を防ぐ。しかし、水分解では他の塩が意図的に水に溶解して導電性を高めている、とローガンは述べた。電荷によってイオンをろ過するイオン交換膜は塩化物イオンを通過させる。逆浸透膜は通過させない。「逆浸透膜は塩の動きを抑制するが、回路に電流を流す唯一の方法は、水中の電荷イオンが2つの電極間を移動するためである。」とローガン述べている。
逆浸透膜によって制限された大きなイオンからの移動に伴い、研究者達は高電流を維持するのに十分な小さなプロトンが細孔を通って移動しているかどうかを確認する必要があった。「基本的に未舗装の道路のように見える物が州間高速道路である可能性があることを示さなければならなかった。塩イオンが前後に移動できない膜が電極間にある場合、2つの電極に大量の電流を流すことができることを我々は証明する必要があった。」とローガンは言った。
Energy & Environmental Scienceで最近発表された一連の実験を通じて、研究者達は2つの市販の逆浸透膜とシステム内の全ての正に帯電したイオンの移動を可能にする一種のイオン交換膜である2つの陽イオン交換膜をテストした。それぞれイオンの動きに対する膜の耐性、反応を完了するために必要なエネルギー量、水素と酸素ガスの生成、塩化物イオンとの相互作用および膜の劣化についてテストされた。
ローガンは一方の逆浸透膜は「未舗装の道路」であることが判明したが、もう一方は陽イオン交換膜と比較して良好に機能したことを説明した。研究者達は2つの逆浸透膜の間になぜそのような違いがあったのかをまだ調査している。「アイデアは旨く行く。なぜこれらの2つの膜がそれほど異なって機能しているのか正確に分らないが、それは我々が理解しようとしていることである。」と彼は言った。
最近、研究者達は海水の電気分解の調査を続けるために、全米科学財団(NSF)から300,000ドルの助成金を受け取った。ローガンは、彼等の研究が世界中の二酸化炭素排出量を削減する上で重要な役割を果たすことを望んでいる。「世界は再生可能な水素を探している。例えば、サウジアラビアは海水を使用する50億ドルの水素設備を建設することを計画している。今、彼等は水を脱塩しなければならない。多分、彼等は代わりにこの方法を使うことができる。」と彼は言った。