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塩のナノ粒子はガン細胞に有毒であることを研究は発見

Study Finds Salt Nanoparticles Are Toxic to Cancer Cells

By Allyson Mann, University of Georgia

https://phys.org/より  2020.01.08

 

 ジョージア大学の新しい研究は、患者には潜在的に害が少ないガン細胞を攻撃する方法を発見した。塩化ナトリウムナノ粒子(SCNPs)-一般的に塩として知られている-はガン細胞に対して有毒で、現在の治療法よりも少ない悪い副作用のない治療法の可能性を提案している。

 化学准教授が率いている研究は、SCNPsが細胞内にイオンを侵入させるためのトロイの木馬として使え、細胞内環境を混乱させ、細胞を死なせることを発見した。SCNPsは分解すると塩になるので、体に無害である。「この技術はガン細胞に限定された破壊に非常に適している。」とフランクリン芸術科学大学の教員であるXieは言った。「我々は膀胱ガン、前立腺ガン、肝臓ガンおよび頭頸部ガンの治療に幅広く適用できると期待している。」

 Xieと研究者チームによると、ナノ粒子はSCNPsを細胞内に侵入させる鍵である。細胞内のナトリウム濃度を比較的低く保ち、細胞外のナトリウム濃度を比較的高く保つ勾配を細胞膜は維持する。原形質膜はナトリウムが細胞に入るのを防ぐが、細胞がナトリウム・イオンとして認識しないため、SCNPsは通過できる。一度細胞内に入ると、SCNPsは溶けて数百万のナトリウム・イオンと塩化物イオンになり、勾配によって細胞内に溜められ、保護メカニズムを圧倒し、原形質膜の破裂と細胞死を誘発する。原形質膜が破裂すると、漏れ出した分子が免疫系に組織の損傷があることを知らせ、体が病原体と闘うのを助ける炎症反応を引き起こす。「このメカニズムは通常細胞よりもガン細胞に対して実質的により毒性である。ガン細胞は発生時に比較的ナトリウム濃度が高いからである。」とXieは言った。

 マウス・モデルを使って、Xieとチームは、腫瘍にSCNPsを注入して潜在的なガン治療としてSCNPsをテストした。SCNPs処理はコントロール・グループと比較して腫瘍増殖を66%抑え、体重減少や主要器官への毒性兆候もないことを彼等は発見した。彼等はまた、SCNPsまたは冷凍解凍によって殺されたガン細胞を持ったマウスにワクチンを接種する研究を行った。これらのマウスはその後の生きたガン細胞攻撃に対してはるかに大きな耐性を示し、全ての動物は2週間以上、腫瘍がないままであった。

 研究者達は腫瘍モデルで抗ガン免疫も調査した。原発腫瘍にSCNPsを注射し、二次腫瘍を未治療のままにした後、二次腫瘍はコントロールよりもずっと遅い速度で成長し、53%の腫瘍阻止率を示すことを彼等は発見した。まとめると、SCNPsがガン細胞を殺し、死にかけているガン細胞を正常なワクチンに変換したことを結果は示唆している。

 XieによるとSCNPsは無機粒子の世界で独特である。それらは良性の材料でできており、それらの毒性はナノ粒子の形態に基づいているからである。「水溶液中での半減期が比較的短いため、SCNPsは全身療法よりも局所療法に最適である。治療は即時で免疫原性のガン細胞死を引き起こす。」と彼は言った。「治療後、ナノ粒子は塩に戻り、体液系に入って組織的または累積的毒性を引き起こさない。高い投与量で注射されたSCNPsで系統的な毒性の兆候は観察されなかった。」

 研究はAdvanced Materialsに発表された。