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塩の洞窟は再生可能エネルギーと水素貯蔵の鍵となる可能性がある

Salt Caverns Could Be Key to Renewable Energy and Hydrogen Storage

https://www.openaccessgovernment.org/    2023.02.24

 

地球の塩の洞窟は再生可能エネルギー利用の鍵となる可能性があると研究者達は、塩自体が水素生成を助ける可能性があることに注目している

 

 サイエンス・ダイレクトによると、塩の洞窟は「溶解採鉱プロセス中に水の注入によって岩塩の制御された溶解によって作成される、地下の塩層にある人工の空洞」である。水素や圧縮空気、CO2貯蔵、地熱エネルギーなど、塩の洞窟内のガスとしてのエネルギー貯蔵は、低炭素エネルギー源への移行のための製品となる可能性がある。

 テキサス大学オースチン経済地質局の研究者達は、大規模な地下塩鉱床が水素貯蔵槽として機能し、地熱発電所に熱を伝え、CO2貯蔵に影響を与える可能性があることを発見した。しかし、これらの資源の活用には、岩塩構造の内部組成、形状、進化についてのより深い理解が必要であり、再生可能エネルギーの開発と貯蔵を加速するためには、岩塩層の構造挙動のより予測的なモデルの開発が必要になる可能性がある。

 

塩の洞窟は地球の地下層の形成に影響を与える役割を果たしている

 塩の洞窟は、石油精製所や石油化学産業で使用される実績のある水素用コンテナである。研究者達は、これらの岩塩層の形成は、エネルギー生産のために結合した水素の貯蔵または保持場所としても利用できることを発見した。

 これらの構造物とその周囲の地質は、エネルギー開発と排出管理に多くの機会を提供するが、地質学的力によって簡単に複雑で巨大な鉱床に押し込まれる可能性があり、一部の地下塩構造物はエベレスト山よりも高い。

 本質的に塩の洞窟を囲む多孔質の岩は、CO2排出の恒久的な貯蔵場所として使用できる可能性がある。研究の共著者でテキサス州高度資源回収局プログラムの責任者であるLorena Moscardelliは次のように述べた。「地表インフラ、再生可能エネルギーの可能性、有利な地下条件、市場への近さの共存が、地下水素貯蔵計画の鍵となる。「テキサス州高度資源回収局は現在、この地域における水素と炭素の回収、利用、貯蔵の可能性を含む西テキサス州の新たなエネルギー機会に取り組んでいる。」

 

ブルー水素からの水素製造の共存

 これらの地質サイトの潜在的な利点により、「ブルー水素」と呼ばれる天然ガスからの水素製造とCO2貯蔵が同時に行なわれる可能性がある。

 水素は塩の洞窟に送られるが、生産によって発生するCO2排出は、永久貯蔵のために周囲の岩石に分流することで大気中に放出されないようにすることができる。研究者達によると、多孔質の堆積岩に囲まれた多数の塩ドームがあるテキサス湾岸は、この種の生産と貯蔵の組み合わせに特に適しているという。

 この研究では、次世代の地熱技術の導入において塩がどのようにさらに役立つかについても触れられており、地下にあるより暖かい岩石から熱を伝導して地熱発電を行なう可能性がある。研究では、溶解採鉱、乾式採鉱、石油・ガス探査などの既存の塩の専門知識を持つ業界が高濃度エネルギー転換にどのように役立つ可能性があるかも示している。

 同局の研究科学者である筆頭著者のOliver Duffyは次のように述べている。「我々は何十年にもわたる研究、炭化水素探査、塩類盆地での採掘から得られた知識とデータをエネルギー変換技術に適用する可能性を見出している。

 「最終的には、塩がどのように挙動するかをより深く理解することで、設計を最適化し、リスクを軽減し、さまざまなエネルギー転換技術の効率を向上させることができる。」