UCLAセンターはナトリウム・イオン電池を商品化することを
目指している
この電池は、高価で地政学的制約を受けるリチウム電池に取って代わる可能性がある
UCLA Center Aims to Make Sodium Ion Batteries a Marketable Commodity
By Holly Ober
https://newsroom.churchofjesuschrist.org/ 2023.11.17
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重要なポイント
● UCLA の新しいエネルギー省センターは、ナトリウム電池を現在のリチウム電池のレベルまで、つまり今後10年以内に改善する取り組みを行なっている。
● 現在存在するナトリウム・イオン電池は充電が遅く、使用寿命はリチウム・イオン電池よりも短くなっている。
● ナトリウムはリチウムよりも陽イオンが大きいため、正極と負極の間の物質を移動する際に抵抗が大きくなる。
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リチウム・イオン電池はエネルギー貯蔵の最先端の技術であるが、世界のリチウム供給の多くは米国外にあるため、その使用にはコストがかかり、地政学的制約を受ける。現在、カリフォルニア大学ロサンゼルス校のエネルギー省の新しいセンターである再生可能エネルギーの歪み最適化センターは、世界で最も豊富に存在する代替元素の1つであるナトリウムから作られた電池の改良を目指している。
ナトリウム・イオン電池は存在するが、ほとんどの消費者にとって有用な形ではない。電池の充電は遅く、使用寿命はリチウム・イオン電池よりも短い。リチウムは化学的に反応しない最小の陽イオン、つまり正に帯電したイオンであるため、電池に適している。この性質により、リチウムは電池の陰極と陽極に出入りする際に、他の原子にあなりぶつからない。イオンが自由に動くため、リチウム・イオン電池は素早く充電でき、押し出される原子も比較的少なく、使用寿命が長い。
一方、ナトリウムは次に小さい陽イオンであるが、はるかに大きいため、カソードとアノードの間の材料を通過するときに抵抗が大きくなる。この抵抗により材料内の原子の配置が変形し、電池の充電が遅くなり、使用寿命が短くなる。
「我々はナトリウム・イオン電池を商品化しようとしている。我々の目標は、ナトリウム電池を今後10年以内にリチウムのレベンルまで引き上げることである。」と、センター長でUCLA の化学の名教授であるSarah Tolbertは語る。「我々は、他の原子に再配置を強いることなくナトリウムが移動できるように内部に大きな空間を持つ材料を開発し、ナトリウムによる再配置に抵抗する層を設計し、体積変化に対応できるように可能性があり曲げられる材料を作ることでこれを実現している。」
もう1つの大きな課題は、電池内の他のすべての要素も低コストにすることである。そのためには、ニッケルやコバルトなどの従来の電池材料から脱却し、鉄、マンガン、チタン、硫黄、リンなどの低コストの要素に重点を置く必要がある。
「このプロジェクトの刺激的な課題は、実用的な空間で基本的な材料問題を解決することである。それができれば、科学を進歩させると同時に社会に良い影響を与えることが可能になる。」と、Tolbertは語った。
STOREセンターは、今後3年間でエネルギー省の新しいEnergy Earthshotsプログラムから450万ドルを受け取る予定である。このプログラムは、今後10年間でクリーン・エネルギー技術を加速するために2億6,400万ドルを投資するものである。このプログラムは、1962年にJohn F. Kennedy大統領が呼び掛けた科学および工学の才能を全面的に動員したMoonshotプログラムを思い出させる。このプログラムにより、10年以内に人類が月に着陸した。
UCLA の化学教授Xiangfeng Duan、材料科学教授Bruce Dunn、化学工学教授Yuzhang Liもセンターで重要な役割を果たしている。協力者には、UCSB、南カリフォルニア大学、カリフォルニア工科大学、スタンフォード線形加速器センターの科学者が含まれる。