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技術者達が主要なナトリウム・イオン電池の欠陥原因を

明らかにする

Engineers Reveal Cause of Key Sodium-Ion Battery Flaw

By Syl Kacapyr

https://news.cornell.edu/    2022.02.11

 

 コーネル大学の研究者達はナトリウム・イオン電池の耐久性を制限する永続的な問題の原因を明らかにし、21世紀に電力を供給するための新しい戦略をメーカーに提供している。ナトリウム・イオン電池はエネルギー密度が高く、不燃性で、低温でも十分に機能する豊富な材料で出来ているため、電気自転車、エネルギー配電網、その他の用途に有望な技術である。しかし、技術者達はまだ化学を完成させていない。現代の電子機器に見られるリチウム・イオン電池は何千回も充電できるが、ナトリウム・イオン電池のほとんどのバリエーションはそのほんの一部しか循環できない。

 耐久性の低さは、イオンが電池の無秩序な結晶構造を通過し、最終的にそれらを破壊するため、電池の作動における特定の原子の再シャッフル(P2-O2相転移)に起因する。相転移は研究者達の関心を集めてきたが、その背後にあるメカニズムは特に電池の作動中に研究することは困難であった。

 そのメカニズムの重要な側面は、材料科学と工学の助教授であるAndrej Singerの研究室のコーネル・チームによって明らかにされ、21日にAdvanced Energy Materials誌に掲載された。博士課程の学生であるJason Huangが筆頭著者である。

 チームは、ナトリウム・イオンが電池内を移動すると、P2-O2相転移の直前に層が突然整列する前に、個々の粒子内の結晶層の誤配向が増加することを発見した。「我々は新しい重要なメカニズムを発見した。」とSingerは言った。「電池の充電中に、原子は突然再配列し、欠陥のある相変態を促進する。」

 チームはコーネルの高エネルギーシンクロトロン源を使用して新しいX線イメージング技術を開発した後、これらの現象を監察することができた。これにより、電池試料内の単一粒子の挙動をリアルタイムで質量スケールで観察できた。

 「予想外の原子配列は、個々の陽極ナノ粒子の内部を見る必要があるため、従来の粉末X線回折測定では見えない。」とSingerは述べている。「我々の前例のないハイスループット・データにより、微妙でありながら重要なメカニズムを明らかにすることができた。」

 この発見により、チームは使用していたナトリウム・イオン電池タイプの新しい設計オプションを提案し、従来の研究プロジェクトで調査する予定である。Huangによると、1つの解決策は、欠陥のある遷移段階の直前に粒子に戦略的無秩序を導入するように電池の化学的性質を変更することである。

 遷移金属、この場合はニッケルとマンガンの比率を変えることで、少し混乱を招き、観察した秩序効果を減らす可能性がある。」とHuangは述べている。Huangは新しい特性評価手法を使用して、他のナノ粒子システムの複雑な相挙動を明らかにすることができるが、その最良の用途は次世代のエネルギー貯蔵技術に残る可能性があると述べた。

 「我々はナトリウム・イオン電池のフロンティアとそれらについて知ってことを推進している。そしてこの知識を使ってより良い電池を設計することは、将来の実用的な用途のための技術を解き放つのに役立つ。」

 研究は国立科学財団によって資金供給された。共同研究者達には、コーネルの高エネルギーシンクロトロン源、アルゴンヌ国立研究所の高度光子源、カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究者達が含まれていた。