食卓で頻繁に塩を加えると胃ガンのリスクが41%増加する
Frequent Salt Addition at the Table Increases Gastric Cancer Risk by 41%
By Pooja Toshniwal Paharia
https://www.news-medical.net 2024.05.10
胃ガン誌に掲載された最近の研究で、研究者達は、イギリス人が食卓で食物に塩を加える頻度と、それが胃ガンの発症リスクとどのように関係しているかを調査した。
背景
最近の研究により、世界中の若者の間で胃ガンの罹患率が上昇していることが懸念されている。研究者達は食事からの塩摂取量とアジア人の胃がん発症率の上昇を関連付けているが、西洋文化における症例対照研究の結果は限られている。
塩は胃粘膜を傷付け、ヘリコバクター・ピロリ菌の定着に対する脆弱性を高め、化学発ガン物質やN-ニトロソ分子による胃上皮細胞の損傷など、感染以外のメカニズムを通じて胃ガンのリスクを高める。総塩摂取量または追加塩摂取量に関する既存の証拠はさまざまな結果をもたらしており、さらなる研究が必要である。
研究について
今回の前向き研究では、研究者達は食卓で食品に塩を加えることと胃ガンのリスクとの関連を調査した。研究チームは多変量コックス回帰分析を使用して、イギリス・バイオバンクの471,144人の個人を対象に、食品に塩を加える頻度と胃ガンの発症リスクとの関係を評価した。
研究チームは、ガンや腎疾患の既往歴のある人や、塩摂取量、尿中ナトリウムまたはカリウム濃度、BMIに関するデータが不完全な人は除外した。
ベースライン(2006年から2010年)では、研究チームはタッチスクリーン調査を使用して、参加者が食事で塩を摂取する頻度を調べた。研究チームは、イオン選択電極法を使用してスポット尿採取の尿中ナトリウム、カリウム、クレアチニン濃度を評価し、インターソルト方程式を使用して24時間の尿中ナトリウム排泄量を予測した。
研究者達は、リンクされた全国ガン登録データと国際疾患分類第10版コードに基づいて胃がんの発生率を判定した。
さらに、スポット尿ナトリウムと胃癌リスクの関係、および参加者が食事に塩を加える頻度とその他のナトリウム摂取指標(食事および尿中の総ナトリウム量)の関係を調査した。研究チームは、コックス比例ハザードモデルを使用して、分析のハザード比を計算した。この研究の共変量は、年齢、BMI、性別、民族、学歴、タウンゼント指数、喫煙、食品、身体活動、アルコール摂取、併存疾患、利尿薬の使用、ヘリコバクター・ピロリ感染状態であった。
感度分析では、併存疾患およびヘリコバクター・ピロリ感染のある非白人の人々と最初の追跡調査年を除外した。
結果
研究者達は平均11年間の追跡調査で、胃がんの発生を640件特定した。食卓で食事に塩を加える人は、教育水準が低い、非白人男性、喫煙歴または喫煙中、恵まれない地域に居住、大量のアルコール(1日16.0 g以上)を摂取する傾向がある。多変量解析では、食卓で食事に塩を加えることが多い人と、まったくまたはめったに塩を加えない人を評価した場合の胃癌リスクのハザード比は1.4であった。
研究者達は、推定24時間尿中ナトリウム濃度と食事の塩漬け頻度の間に直線的で正の相関関係があることを発見した。24時間尿中ナトリウム推定値と胃ガンの間には有意な相関関係はなかった。
感度分析でも同様の結果が得られた。ガンの部位による異質性の証拠はなく、心臓病患者264名でハザード比1.0、非噴門病患者163名でハザード比1.1であった。食卓の食事に塩をまったくまたはまれにしか加えない、時々加える、頻繁に加える、または常に加える人の尿中ナトリウム濃度は、1日当たり2,932 mg、3,028 mg、3,129 mg、3,168 mgであった。同様に対応する頻度での尿中ナトリウム濃度は、1.8、1.8、1.9、1.9 mmol/Lであった。
個人の頻度グループは、1日当たり1,864 mg、12,040 mg、2,196 mg、2,254 mgのナトリウム摂取量に相当した。
結論
この研究では、食卓の食物に塩を加えると、イギリスの成人の胃癌リスクが上昇することが判明した。食事に塩を常に取り入れている人は、ほとんどまたはまったく塩を加えない人に比べて、胃ガンになる可能性が41.0%高くなった。
研究者達はまた、スポット尿ナトリウム濃度と24時間中の尿中ナトリウム排泄量との間に好ましい用量反応関係があることを発見した。
しかし、24時間尿塩を曝露量として考えると、胃癌リスクとの関連は見られなかった。最初の追跡調査年に診断された胃ガン症例を除外すると、これらの関連性はわずかに強固になり、逆の因果関係を示した。
この結果は、塩、漬物、塩漬け魚介類、加工肉を多く摂取するアジア系コミュニティで胃癌リスクが高いことを報告した前向き試験の以前のメタ分析研究と一致している。
ガンのサブタイプ間で起こり得る変動を評価し、塩摂取量と胃癌リスクの関連性の定量化を改善するには、より大きなサンプルサイズでさらなる研究が必要である。