食物に塩を加えると胃ガンのリスクが41%増加する
Salting Your Food Increases Your Risk of Stomach Cancer by 41%
By Paul McClure
https://newatlas.com/ より 2024.05.09
アジア人の間では、塩摂取量と胃ガンとの関連がすでに指摘されている。現在、より広範な研究によって、以前の調査結果が確認されている。食卓で常に塩を加えると、出身地を問わず、ガンリスクが大幅に高まる。
世界中で胃ガンは最も多く診断されるガンのトップ5にランクインしている。発症率は東アジアで最も高いが、アメリカ、カナダ、イギリスなど、リスクの高い国と低い国の両方で、50歳未満の人々の胃がん発症率が驚くほど上昇している。
塩摂取量は認知症や二型糖尿病のリスクと関連しているが、胃癌リスクにどのように影響するかについてはまだ結論が出ていない。
一部の研究では、食事からの塩摂取量が多いと胃の内壁が破壊され、よく知られているリスク要因であるピロリ菌の定着を受けやすくなると示唆されている。また、ピロリ菌感染とは関係なく、胃ガンと塩摂取量との間に正の相関関係があることを示唆する研究もある。塩摂取量と胃ガンの関連性を調べた研究はわずかしかなく、そのほとんどはアジア人集団に焦点を当てている。新しい研究では、ウィーン医科大学の研究者達が、食卓で食物に塩を加えることとイギリスの成人の胃癌リスクとの間に関連があるかどうかを検討した。
研究者達はイギリスの成人を対象とした大規模な人口ベースの研究であるUKバイオバンクから471,144人のデータを入手した。参加者の平均年齢は56歳で、53.9%が女性であった。参加者は「食事に塩を加えますか?」と質問された。参加者は「塩を加える頻度」について「塩を加える頻度(調理に使用した塩は含めない)」と質問され、「全く/めったに加えない」、「時々加える」、「たいてい加える」、「いつも加える」、「答えたくない」のいずれかで回答できた。研究者達は参加者の胃ガンの状態、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染状態、併存疾患の有無についてもデータを収集した。
約11年間の追跡調査で、胃ガンの症例は640件に上がった。人口統計学的、社会経済的、ライフスタイル的要因、併存疾患を考慮すると、食卓で常に食物に塩を加えると回答した参加者は、全くまたはめったに塩を加えない参加者よりも胃ガンを発症するリスクが41%高かった。
「我々の研究は、西洋諸国でも塩の添加頻度と胃ガンの関連性を示している。」と、ウィーン医科大学公衆衛生センターのSelma Kronsteiner-Gicevicは述べ、この研究の筆頭著者兼責任著者でもある。
研究者達は食卓で食事にどれくらい塩を加えるかを尋ねることは、医療専門家が塩摂取量を測る簡単な方法であるという。さらに、これは公衆衛生メッセージに簡単に変換でき、個人や集団全体の塩含有量を減らすのに役立つ可能性がある。
研究者達が指摘したように、この研究には限界がある。大規模なコホ-トが使用されたが、症例数は年齢、性別、民族、ピロリ菌感染、喫煙状況などの潜在的な修飾因子の影響を評価するには十分ではなかった。以前のように、ピロリ菌感染は胃ガンのよく知られた危険因子である。イギリス・バイオバンクの参加者の感染率は推定0.3%で、イギリス全体の感染率は推定35.5%であるため、ピロリ菌感染の影響は「過小評価されていた可能性が高い。」
参加者全員について、彼等が食べた食品の塩含有量に関する詳細な食事データがないという問題もある。
イギリス・バイオバンクのコホート全体について、食品からの塩摂取量に関するデータはなかったが、詳細な食事データを持つ参加者のサブセットでの現在の分析では、塩を多く摂取する人は、ナトリウム含有量の高い食品を摂取する可能性が高いことが示された。したがって、食事からの塩摂取量は測定誤差が生じやすいことを考慮すると、塩摂取量と胃ガンリスク真の関連性は、この研究で観察されたものよりも強い可能性がある。」と研究者達は述べた。
限界はあるものの、この研究は、塩の摂取頻度と非アジア系集団における胃癌リスクとの関連を示す点で有益である。
「我々は極端に塩を多く摂取することの悪影響に対する認識を高め、胃ガンを予防するための対策の共同創業者を提供した。」と研究リーダーのTilman Kühnは述べた。
この研究は、「胃ガン」誌に掲載されている。