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電極は環境に優しい電池を後押しする層状ペーストを追求

Electrode Takes after Layered Pastry to Give Eco-Friendly Battery a Boost

By Nick Lavars

https://newatlas.com/ より   2021.12.06

 

 性能を向上させる可能性のある代替電池構成に関しては多くの刺激的な1つの非常に一般的な障害がある。デンドライトと呼ばれる針のような結晶が電極上に形成され、多くの有望な実験用電池の性能を妨げるが、テキサス大学オースチン校のチームはペーストの重ね合わせに例えられる新しい製造技術を活用することにより、特に環境に優しい解決策を提案している。

 この研究の中心となる技術はナトリウム電池と呼ばれるものであり、今日の電池に使用されているリチウムやコバルトなどの重金属を避けているため魅力的な提案である。これらの材料の採掘は児童労働に関連する人権問題に加えて、水供給の汚染や土壌劣化などの環境への悪影響に関連している。

 対照的にナトリウムは安価で豊富であり、エネルギー貯蔵のためのより環境に優しい解決策を約束する。しかし、それらの性能を今日のリチウム・イオン電池の性能に引き上げる努力は幾つかの問題に悩まされており、その中にはデンドライト形成の主な問題がある。これらはデバイスが循環するときに、充電された電池のイオンを保存する電極である陽極で成長する傾向があり、デバイスが短絡、過熱、または発火する可能性がある。

 目的は陽極材料を可能な限り均一に堆積させ、表面にわずかな欠陥があってもデンドライトにデバイス全体を元に戻すために必要な開始点を与えることである。テキサス大学オースチン校の研究者達は陽極として機能するテルル化アンチモン・ナトリウム金属間化合物と呼ばれる複合材料を通じて、この問題の解決策を考え出したと信じている。

 これはナトリウム金属の薄いシートによって形成され、テルル化アンチモン粉末の上に巻かれ、それ自体の上に折りたたまれる。この工程を何度も繰り返して陽極材料を形成し、ナトリウム原子の非常に均一な分布をもたらし、デンドライト形成の可能性を低減させる。「スパナコピタのような一種の層状ペーストを作ることを考える。」と、材料を設計した研究著者のデビッド・ミトリンは言う。

 複合材料はデンドライト形成を防ぎ、ナトリウム電池の安定性を向上させるだけではない。科学者達は、それが既存のナトリウム・イオン陽極よりも高い理論的エネルギー密度を持っているため、より大きな貯蔵容量につながる可能性があり、リチウム・イオン電池と同じ速度で充電できることにも注目している。

 「我々は本質的に一度に2つの問題を解決している。」とミトリンは言う。「通常、充電が速いほど、これらの樹状突起が多く成長する。したがって、樹状突起の成長を抑えると、突然安全であるため、充放電をより速く行える。」

 科学者達はこの技術の特許を申請し、彼等の研究をAdvanced Materials誌に発表した。

A new sodium metal anode for rechargeable batteries resists dendrite formation (left) a common problem with standard sodium metal anodes as seen on the right

充電式電池用の新しいナトリウム金属陰極は、右に見られるように標準的なナトリウム金属陰極で一般的な問題であるデンドライトの形成に抵抗する()

出典:テキサス大学オースチン校Yixian Wang