アスリートのための塩分と水分補給に関する3つの重要な洞察
3 Key Insights on Salt and Hydration for Athletes
https://myomaster.com/ 2022. 12.11
塩は主にナトリウムで構成されており、水分補給に不可欠である。一般的に、体内では塩があるところに水が流れる。例えば、脳内のナトリウム濃度が高すぎると、ニューロンに悪影響を及ぼし、細胞が水を吸い込んで膨張し、脳組織が文字通り腫れる。ナトリウムが少なすぎると、濃度は細胞外から水を吸い込み、脳機能が低下する。
塩と水分補給に関しては、バランスを正しく取ることがすべてであり、万能なアプローチはない。血圧、行なっている心血管運動の量、食事ですでに摂取している塩分量など、考慮すべき要素が幾つかある。
とはいえ、そのバランスを正しく取ることには大きなメリットがある。そこで、塩分と水分補給に関する3つの重要な洞察を詳しく見てみよう。
ナトリウムで水分補給すると水だけよりも効果的である理由
体が脱水状態であることを認識し、喉の渇きを誘発する方法はいくつかあるが、主に脳には2組のニューロンがあり、ナトリウム濃度を検出するものと低血圧を検出するものがある。これらのニューロンが活性化されると、体内で連鎖反応が起こり、ホルモンが放出されて喉の渇きを直接感じたり、塩辛い食べ物を欲しがってそれを食べた場合に別の連鎖反応としてホルモンが放出されて喉の渇きを感じたりする。いずれにしても体は水分補給が必要なことを知らせる方法を見つける。
しかし、十分なナトリウムを摂取しないで水を飲みすぎると、体に悪影響がある。長い競技を終えた一流の持久力アスリートが、自分がどこにいるのか混乱しているように見えたり、簡単なインタビューで話すことができなかったりするのを見たことがあるでしょう。肉体的な疲労に加えて、レース中ずっと水分補給を通付けていたにもかかわらず、発汗によるナトリウム損失により、この時点では脳は通常ナトリウム不足になっている。
水に少量の塩を加えると、体は失われたナトリウムを補充することができ、全体的な身体的および精神的パフォーマンスが向上する。これを行なうために通常の食卓塩を使用してもまったく問題はないが、一部のアスリートやパフォーマンス・コーチは、ピンク色のヒマラヤ塩などのより高級な塩の使用を推奨している。これらの塩には、体内のナトリウム量のバランスも含まれているため、これにはメリットがある可能性がある。
水分補給と健康を維持するために適切な塩分量はどれくらいか?
塩分摂取に関する研究は、調査対象者の食生活を分析する際に「塩分制摂取量が多い」と「塩分摂取量が少ない」という観点からしか研究が検討されていないため、取扱が難しい。塩分摂取量が多いが炭水化物は食べないAさんと、塩分摂取量が多いが炭水化物と脂肪を大量に摂取するBさんとを区別していないため、問題が分かる。
健康的と見なされるものを幅広く示し、1日と通して水分補給を維持する研究が1つある。この論文は「尿中ナトリウムおよびカリウム排泄と心血管イベントのリスク」というタイトルで、2011年に発表された。この論文では、摂取した量の強力な指標である尿中に排泄されるナトリウム量を調べ、その数値を脳卒中や心臓発作などの心血管イベントによる重篤で致命的な入院と比較した。
結果によると、1日当たり約2 gのナトリウム摂取でこれらの重篤なイベントのリスクが減少し、このリスクの減少は1日当たり約4.5~5 gのナトリウム摂取まで続き、5 gを超えると再びリスクが劇的に増加した。
繰り返しになるが、1日当たりに摂取できるナトリウム量を決定する際には、他の多くの要因が非常に重要であると言う事実に戻ることが重要であるが、この研究は出発点として適している。
カフェイン、塩、水のバランス
多くの人、特に私が一緒にトレーニングしたアスリートは、コーヒーやエナジー・ドリンクを沢山飲んでいる。トレーニングや試合の前にコーヒーを飲むのは、交感神経系を活性化させるのにとても良い方法であるが、トレードオフもある。カフェインは利尿作用があり、体から水分を排出する。これは、カフェインがナトリウムを排出するからである。
コーヒーを飲むときに水分補給をし、体が水分補給されていることを確認するための一般的な経験則がある。コーヒーまたはカフェイン入り飲料を200 ml飲むごとに、カフェインの利尿作用によって失われたナトリウムを補うために、食塩を一つまみ入れた水を350 ml多く摂取する。
これにより、運動中も認知機能を維持し、十分な水分補給を維持できる。