ナトリウム・イオン電池は資源効率が高いことが判明
Sodium-Ion Batteries Prove to Be Resource-Efficient
By Staff Writer
https://www.mining.com/ より 2024.01.14
スエーデンのチャルマーズ工科大学の研究者達は、ナトリウム・イオン電池がリチウム・イオン電池と同等の気候影響を及ぼしているが、原材料が不足するリスクはないことを実証した。
「リチウム・イオン電池は世界で主流の技術になりつつあり、特に輸送に関しては化石ベースの技術よりも気候に優れている。しかし、リチウムがボトルネックになっている。電気自動車を生産したいのと同じ速度でリチウム・ベースの電池を生産することはできず、長期的には埋蔵量が枯渇するリスクがある。」とJournal of Industrial Ecologyに掲載された研究の筆頭者であるRickard Arvidssonはメディアの声明で述べた。Arvidssonは、リチウムやコバルトなどの重要な電池材料は、自然に入手できる量が限られていることに加え、そのほとんどが世界のわずか数カ所で採掘されており、供給にリスクをもたらしていると指摘した。
同氏の見解では、これがナトリウム・イオン電池が有望な技術を提供する理由であり、同氏のチームがナトリウム・イオン電池についてさらに詳しく調査することにした理由であるという。詳細には、電池のライフサイクル評価を実施し、原材料の抽出と製造時に環境と資源に与える全体的な影響を調査した。
「鉱物資源不足への影響と言う点では、ナトリウム・イオン電池がリチウム・イオン電池よりもはるかに優れており、気候への影響と言う点では同等であるという結論に達した。」とArvidssonは述べた。「どのシナリオを検討するかにもよるが、理論上の蓄電容量はキロワット時あたりの二酸化炭素換算量が60 kgから100 kg強になるが、これはこのタイプのナトリウム・イオン電池について以前に報告されているものよりも低い値である。それは明らかに有望な技術である。」
研究者達はまた、電池の総影響の大部分を占める環境に優しい電解質の開発など、気候への影響をさらに軽減できる可能性のあるいくつかの対策も特定した。
エネルギー貯蔵
現在のナトリウム・イオン電池は、すでに送電網における定置型エネルギー貯蔵に使用されることが期待されており、継続的な開発により将来的には電気自動車にも使用される可能性がある。
「エネルギー貯蔵は風力発電と太陽光発電の拡大の前提条件である。保管が主に電池で行なわれることを考えると、問題はその電池が何から作られているかと言うことである。リチウムとコバルトの需要の増加がこの開発の障害となる可能性がある。」とArvidssonは指摘した。
この技術の主な利点は、ナトリウム・イオン電池の材料が豊富で世界中で入所できることである。電池の一方の電極(陽極)には電荷担体としてナトリウム・イオンがあり、もう一方の電極(陰極)には硬質炭素が含まれている。チャルマーズの研究者が調査した例の1つでは、硬質炭素は林業のバイオマスから生産されている。
「豊富な原材料をベースにした電池は、電池メーカーと国の両方にとって、地政学的リスクと特定地域への依存を軽減できる可能性がある。」とArvidssonは述べた。
ライフサイクル評価
この研究は、2つの異なるナトリウム・イオン電池セルの前向きライフサイクル評価であり、原材料の抽出から電池セルの製造までの環境および資源への影響が計算される。
研究の機能単位はセルレベルでの理論上の蓄電容量1 kWhである。どちらのタイプの電池セルも主に豊富な原材料に基づいている。陰極は生物由来のリグニンまたは化石原料からの硬質炭素で構成され、陰極はいわゆる「プルシアン・ホワイト」(ナトリウム、鉄、炭素、窒素で構成される)で構成されている。
電解液にはナトリウム塩が含まれている。プロダクションは、将来の大規模生産に対応するようにモデル化されている。例えば、電池セルの実際の生産は、今日のギガファクトリーでのリチウム・イオン電池の大規模生産に基づいている。
2つの異なる電力構成とm2つの異なるタイプのいわゆる割り当て方法、つまり資源と排出量の割り当てがテストされた。気候と資源への影響を質量に基づいて複製品間で配分する方法と、すべての影響を主製品(ナトリウム・イオン電池とその成分および材料)に配分する方法である。