ナトリウム・バランス制御
Solium Balance Regulation
https://med.libretexts.org/ 2023.03.31
ナトリウムは、主に細胞外に分布する重要な陽イオンである。
学習目標
● ナトリウム・バランスが調節されるメカニズムについて摂取する。
キーポイント
● 体には強力なナトリウム保持機構、レニンーアンジオテンシン系がある。
● ナトリウムが不足している状態ではアルドステロン濃度が上昇し、ナトリウムが過剰である状態ではアルドステロン濃度が低下する。
● アルドステロン分泌の主な生理学的制御因子は、アルドステロン分泌を増加させる血漿アンジオテンシンⅡ濃度である。
キーワード
● ナトリウム:記号Na、原子番号11の化学元素。柔らかく、白銀色で、反応性の高い金属で、アルカリ金属に属する。
● アルドステロン:副腎皮質から分泌され、体内のナトリウムとカリウムのバランスを調節するミネラロコルチコイド・ホルモンである。
● アンジオテンシン:血管を狭めて動脈圧を調節する数種類のポリペプチドのいずれかである。
ナトリウム調節
ナトリウムは、主に細胞外に分布する重要な陽イオンである。細胞内のナトリウム濃度は約15 mmol/Lであるが、臓器によって異なる。細胞内容積は30 Lで、細胞内には約400 mmolある。
血漿および間質ナトリウムは約140 mmol/Lで、細胞外内容積は約13 Lで、1,800 mmolが細胞外空間にある。しかし、骨に約1,500 mmolが蓄えられているため、体内の総ナトリウム量は約3,700 mmolである。
体には強力なナトリウム保持機構があり、1日5 mmolのNa+を摂取したとしても、ナトリウム・バランスを維持できる。レニンーアンジオテンシン系の活動が低下することで余分なナトリウムが体から失われ、その結果、体からのナトリウム損失が増加する。ナトリウムは、腎臓、汗、排泄物から失われる。
ナトリウムが不足している状態では、アルドステロン濃度が上昇する。ナトリウムが過剰の状態では、アルドステロン濃度が低下する。アルドステロン分泌の主な生理学的制御因子は、アルドステロン分泌を増加させる血漿アンジオテンシンⅡ濃度である。
血漿カリウム濃度が高いと、アルドステロン分泌も増加する。これは、血漿アルドステロン濃度が高いと、Na+が保持されるだけでなく、腎臓によるK+の損失も引き起こすためである。血漿ナトリウム濃度はアルドステロン分泌にほとんど影響しない。
腎灌流圧が低いとレニンの放出が刺激され、レニンはアンジオテンシンⅠを形成し、アンジオテンシンⅡに変換される。アンジオテンシンⅡは血管を収縮させることで低灌流圧を補正し、近位尿細管への直接的な影響とアルドステロンを介した作用によってナトリウム保持を増加させる。副腎への灌流圧はアルドステロン分泌に直接的な影響を及ぼさず、低血圧はレニンーアンジオテンシン系 を介してアルドステロンを制御するように機能する。
アルドステロンは汗管と結腸上皮にも作用してナトリウムを節約する。アルドステロンが活性化されてナトリウムを保持すると、血漿ナトリウム濃度が上昇する傾向がある。これにより、すぐに抗利尿ホルモンが放出され、水分が保持されるため、Na+とH2Oのバランスが適切な割合になり、血漿量が回復する。
アルドステロンとアンジオテンシンⅡに加えて、他の要因もナトリウム排泄に影響する。
● 心房ペプチドは腎臓によるナトリウムの喪失を引き起こす。過剰摂取や心臓病によりナトリウム濃度が高くなると、心臓から分泌される。
● 血圧の上昇もナトリウムの喪失を引き起こし、血圧が低いと通常はナトリウムの保持につながる。