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安定した溶融塩が太陽光蓄熱の鍵を握っている

Stable Molten Salts Hold the Key to Solar Storage

By Cordelia Sealy

https://www.materialstoday.com/     2021.05.25

 

成長の遅い酸化物スケールを含む容器に貯蔵された空気安定性のある低コストの溶融塩化物貯蔵媒体は空気適合性の750℃以上の熱エネルギー貯蔵に役立つ可能性がある。

 

集光型太陽光発電はより高い温度で動作し、熱エネルギー貯蔵技術を採用することで変換効率を改善できれば、化石燃料と競合できる可能性がある。溶融塩の形で高温エネルギーを貯蔵すれば、太陽が輝いていない時でも太陽エネルギーが応答性の高い継続的な電力源になる可能性がある。しかし、地球上に豊富に存在する溶融塩のすべてが大気中で化学的に安定しているわけではなく、貯蔵タンクや配管を腐食する可能性がある。

 今回、パデュー大学の研究者達は海水由来の塩化カルシウムと塩化ナトリウムの液体をベースにした特定の種類の地球に豊富に存在する溶融塩が、周囲空気中で750℃まで化学的に安定であり、適切な種類を使用した場合には化学的に安定であることを示した。封じ込め材料の使用により、最小限の腐食が発生する。

「費用対効果が高く持続的な発電のために太陽光からの熱を蓄えるには、安定した高温の溶融塩と耐食性のタンク材料が必要である。」とこれらの取り組みを主導したKenneth H. Sandhageは説明する。

 集光型太陽光発電の潜在的な蓄熱媒体と考えられているMgCl2を含む他の低融点で地球に豊富に存在する溶融塩は、周囲空気中で750℃で安定せず、金属合金の容器や配管を腐食する。代替のCaCl2-NaCl溶融塩は、大気中で750℃では酸化しない。さらに、これらの溶融塩がNiOを含むNiなどの特定の酸化物を含む金属と接触すると、最小限の腐食が発生する。この材料の腐食性の鍵は、腐食性の溶融塩との直接接触から金属を保護する酸化スケールの形成である。

 「これらの耐酸化性溶融塩化物塩は、周囲空気中で高温で太陽熱エネルギーを貯蔵するための化学的に堅牢な液体として使用でき、夜間や曇りの日でも集光型太陽光発電プラントから電力を生産し続けることができる。」とSandhageは言う。「これらの特定の溶融塩は酸化耐性があるため、それらを汲上げて貯蔵するために使用される配管やタンクは完全に気密である必要がなく、配管や貯蔵タンクの設計、信頼性、コストが簡素化される。」

 CaCl2-NaCl溶融塩は、現在、集光型太陽光発電プラントで使用されている溶融硝酸塩よりも安価で、より高い温度で使用できる。研究者達の熱力学計算では、融点が低い代替の三級および四級塩化物塩組成物も酸化耐性があり、有用な温度範囲が広がる可能性があると予測されている。Ni/NiOよりも機械的に堅牢な他の酸化物形成金属合金も研究チームによって研究される予定である。

 「我々は地球上に豊富に存在する耐酸化性の溶融塩化物が、溶融硝酸塩や酸化しやすいMgCl2を含む溶融塩の代わりに、低コストで信頼性の高い高温での熱エネルギー貯蔵に使用され、熱エネルギーを低下させるとこを期待している。」そのような発電所で生成される配電可能な電力のコストがかかる。」とSandhageは言う。