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研究により体内の塩処理に関する知見が明らかに

Study Reveals New Insights into Body Salt Handling

https://www.marshall.edu/   2023.03.31

 

 マーシャル大学の研究者達が主導する新しい研究は、体内の塩分バランス調節の新しいメカニズムに焦点を当てている。腎臓は、血圧の決定に不可欠な適切なナトリウム・バランスを維持する体の能力において中心的な役割を果たす。ナトリウム・バランスの乱れは、高血圧、心臓病、脳卒中など、多くの一般的な病気の発症と進行に寄与している。

 Na/K-ATPaseは、腎近位尿細管に沿ったナトリウムの吸収を促進する酵素機構である。そのため、これがナトリウム吸収の分子的拮抗因子となる可能性は極めて低い。対照的に、故Zijian Xie博士にちなんで名付けられたNKA受容体/シグナル伝達のXieモデルは、NKAが細胞内ナトリウムを感知し、細胞反応を調整して吸収を抑制し、遠位尿細管への安定した供給を維持するのに最適な分子実体として進化したと予測している。

 今月初めに世界トップクラスの生物学ジャーナルであるFASEB誌に発表された新しい研究によると、細胞とマウスの遺伝子ターゲッティングを使用して、腎臓のナトリウム再吸収の全体的な調節に対するNKAシグナル伝達とイオン・ポンプのそれぞれの寄与をテストしたこの研究では、腎臓のナトリウム再吸収の制御においてNKAシグナル伝達がNKAイオン・ポンプよりも機能的に優位であることが明らかになった。

 「この論文は、腎臓生理学/哺乳類の塩処理における大きな進歩とパラダイム・シフトを表している。」と、Marshall Institute for Interdisciplinary Researchの暫定所長で、この研究の責任著者であるSandrine Pierre博士は述べている。「これまでのところ、これはナトリウム・ポンプ・シグナル伝達に関するXieモデルの妥当性と生理学的重要性の最も具体的な証拠である。」

 非古典的なNa/K-ATPase受容体機能を評価する実験モデルにおける腎臓生理学と遺伝学的アプローチの専門知識は、Marshall Institute for Interdisciplinary ResearchJoan C. Edwards School of Medicineの研究者達からなる部門横断チームによって提供された。NKA非イオン・ポンプ機能のパイオニアであるXieは、このプロジェクトの開発当初から原動力となっていた。

 「腎近位尿細管細胞でNKAを標的とする初の遺伝子マウス・モデルの開発により、腎臓のNa+と水の再吸収におけるNKAの二重の拮抗的役割を明らかにすることができた。」とTakeda Pharmaceuticals U.S.A.社の希少疾患DDUの科学者であり、本研究の筆頭著者で、マーシャル大学の生物医学大学院生として本研究の主要部分を実施した

Shreya Mukherji博士は述べている。「しかし、これは単なる足がかりにすぎない。同僚のアプローチを使用して、我々のグループや他のグループは、高血圧性疾患やその他の非常に一般的な慢性疾患の管理における新しい制御ネットワークを分析し、新しいターゲットを特定する可能性がある。」

 この研究は、アメリカ心臓協会と国立衛生研究所の資金提供を受けた。Mukherjiらによる論文「Na/K-ATPaseシグナル伝達は腎近位尿細管におけるナトリウム再吸収を恒常的に阻害する」の全文はhttps://doi.org/10.1096/fj.202200785RRを参照して下さい。