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アイオワ大学の研究者が、塩辛い食物への愛着を制御する

脳の部位を特定

Iowa Researcher Identifies Part of Brain That Controls Love of Salty Foods

By Ben Frotscher

https://magazine.foriowa.org/     2025.05.19

 

この新たな研究では、味覚や欲求に対する我々の理解一変させる可能性があり、また過剰な塩分摂取を減らす希望も与えるであろう。

 

 Joel Geerlingは塩辛いスナック菓子を欲しがることはない。しかし、アイオワ大学の研究者は、なぜ多くの人が塩辛い食物に抗えない魅力を感じるのかを解明した。JCI Insight誌に最近発表された研究によると、Geerlingと彼のチームは、脳幹内に一連のニューロンが塩分とそれに含まれるナトリウムへの欲求を制御していることを発見した。

 UI Roy J. and Lucille A. Carver医科大学の神経学准教授であるGeerlingによると、これらのニューロンは血圧を調節する役割を果たすアルドステロンというホルモンを感知するとのこと。

 「これらのニューロンを脳幹から除去すると、ナトリウムへの欲求が消失することを発見した。」とGeerlingは語る。「また、これらのニューロンが刺激されると、ナトリウムへの欲求が増加することも確認した。」

 UIの研究は、味覚や欲求が食生活に及ぼす影響についての理解を一変させる可能性がある。また、多くのアメリカ人が日々悩まされている過剰な塩分摂取を抑制するための解決策を一般的に使用されているが見付ける助けにもなるであろう。

 

塩分過多の状況

 アメリカの成人の約90%は、食品医薬品局が推奨する12,300 mg(小さじ1杯分)を超える塩分を摂取している。しかし、Geerlingは、塩分や水分を十分に摂取していない60歳以上の患者も数多くの診ており、こうした患者も高血圧などの重大な健康リスクにつながる可能性がある。

 塩分への欲求を何が制御するのかは、これまであまり解明されていなかった。Geerlingは、博士課程の指導教官であった故Arthur Loewy(セントルイス・ワシントン大学)との共同研究を基に、この状況を変えようと尽力した。彼とアイオワ大学の研究者Silvia Gaspariniは、副腎皮質で分泌され、腎臓内の水分と塩分のバランスを制御するホルモンであるアルドステロンを研究した。

 「アルドステロンは我々が生きていく上で非常に重要であり、健康と身体機能全般にとって不可欠である。」とGeerlingは言う。「水分を十分に摂取していないと、アルドステロンが生成され、腎臓などの臓器にナトリウムを保持するよう指示する。しかし、体内でアルドステロンが過剰に生成されると、血圧が急上昇する。」

 

欲求のコントロール

 脳幹にある特定の細胞群を研究したGeerlingのチームは、アルドステロン感受性HSD2ニューロン(ヒト1人当り約1,000個存在)が、アルドステロンによって引き起こされる塩辛い食物への欲求の原因であることを発見した。研究者達は、これらのHSD2ニューロンの唯一の中心的な機能はナトリウムへの欲求を高めるとこであり、これは哺乳類でこれまでに発見された細胞種の中で最も特異的な行動であるとGeerlingは言う。

 これらのニューロンの働きをより明確に知解できないことで、GeerlingHSD2ニューロンを取り巻く細胞機能についてさらに深く研究する予定である。

 「我々は、塩分を摂取したいという欲求を高めたり、最小限に抑えるたりすることが容易であることを示した。これは長期的には人々に大きな影響を与える可能性がある。」と彼は言う。