ナトリウム・イオン革命のための電池材料
KITのスタートアップ企業Litonaが次世代電池用のプルシアン・ホワイト正極材料を生産
Battery Material for the Sodium-Ion Revolution
https://www.kit.edu/ 2024.03.27
強力で安全、そして持続可能なナトリウム・イオン電池は、従来の電池に比べて多くの利点がある。リチウムやコバルトなどの重要な資源を含まないため、定置型エネルギー貯蔵システムや電気自動車のコストも削減できる。しかし、これまでは生産に必要なエネルギー貯蔵材料が不足していた。カールスルーエ工科大学(KIT)で設立されたスタートアップ企業、Litonaは、これらの材料を工業規模で生産する。2024年4月22日から26日まで、Litonaはハノーバメッセの「エネルギー・ソリューション」ホールのKITスタンドでそのせいかを発表する。
プルシアン・ホワイトは、よく知られている染料プルシアン・ブルーと「化学的に関連」している。主にナトリウム、鉄、マンガンをベースとしている。「このエネルギー貯蔵材料は、ナトリウム・イオン電池のカソード、つまりプラス端子で使用できる。」とLitonaを設立したKIT応用材料研究所のSebastian Bücheleは言う。「このような電池は安価で、必要なリソースはすべて広く入手可能である。すぐに電気自動車や定置型エネルギー貯蔵システムで使用されるようになると確信している。」しかし、誰が製造するかはまだ不明である。ヨーロッパの産業界は大きな問題に直面している。「現時点では、研究機関でさえ、十分な量のプルシアン・ホワイトを購入するのにかなり苦労している。ヨーロッパにはほとんど製造業者がない。」と科学者は説明する。「これにより、有望なナトリウム・イオン技術の研究と移転が大幅に妨げられている。」
大量生産のためのプルシアン・ホワイト
Bücheleはナトリウム・イオン技術の研究を始めたとき、プルシアン・ホワイトを自分で合成することを決意した。KITでのこの研究は、高品質の正極材料だけでなく、革新的な製造プロセスにもつながった。より大きな市場に対応するために、同氏は化学者のTom BötticherとともにLitonaを設立した。「競合他社はプルシアン・ホワイト類似体の生産規模拡大に問題を抱えていた。」とBücheleは言う。「我々はこれらの問題を解決したいと考えている。さらに、材料をさらに改善する方法も開発した。」
ヨーロッパ産業にとってのチャンス
Litonaは、スケーリング手順を検証し、次世代電池で使用するために材料を最適化するために、KITのインフラストラクチャーを使用した。一方、両研究者はすでに最先端の生産施設の設置を開始している。「我々はドイツを優先するという意識的な決定を下した。」とBötticherは言う。「ヨーロッパの電池生産には大きな可能性があると考えている。リチウム・イオン電池では、近年アジアが先行している。現在、ナトリウム・イオン技術はヨーロッパで新たなスタートを切る絶好の機会を提供している。我々は、単なる傍観者ではなく、この開発の一部になりたいと考えている。」