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キリンホールディングスのスプーンとお椀は刺激により減塩食品の塩味を1.5に強化する

Kirin Holdings Spoon and Bowl That Enhance the Salty Taste of Low-Sodium Food by Approximately 1.5 Times via Stimulation

https://www.kirinholdings.com/        2022.09.07

 

  低ナトリウム食品の塩味を約1.5倍にする独自の電流波形を開発。

  この電流波形を持つスプーンとお椀型の「エレキソルト」装置を開発した。

  9月より健康的な食生活を提案する2社との共同実証実験を開始。

  2023年の日本での発売を目指す。

 

202297日、東京-キリンホールディングス株式会社(以下、キリン)と明治大学学際数理科学研究所フロンティア・メディア科学専攻(宮下研究室)の宮下芳明研究室は、低ナトリウム食品を食べた際に感じる塩味を約1.5倍に高める独自の電気刺激を開発し、この技術を取り入れたスプーンやお椀型の「エレキソルト」を開発した。キリンは株式会社ノルト、株式会社オレンジページ(以下、オレンジページ)と共同で本装置と減塩食をセットで提供し、食事満足度を評価する実証実験を9月から開始する。2023年の「エレキソルト」装置の発売を目指している。この装置を通じて人々が美味しく生活を豊かにできる社会の実現を目指している。

1      通常の食品と30%減塩した試料を模した試料で塩味強度に関する評価の変化値。エレキソルト技術(電流0.540.65 mA)を搭載した箸を使用してテストした。現在、減塩している、または過去に減塩したことのある4065歳の男女31名に試験食を食べたときの塩味強度を尋ねたところ、31名中29が、塩味が増したと答えた。日本人の1日の塩摂取量は20歳以上の男性10.9 g、女性9.3 gで、世界保健機関の塩摂取量基準と比較して非常に多いことが知られている。

 

「塩摂取量が多すぎる」という社会問題

 近年、日本の減塩・無塩食品市場は健康意識の高まりから拡大を続けており、2015年から2020年までの5年間で約26%成長し、

売上高は1,413億円と予想されている。当社が首都圏在住者を対象に実施した調査では、減塩食を食べている人の約63%がそうするつもりであり、それは挑戦だと感じており、そのうち約80%が低塩食の味に不満を持っていることが分った。人々が減塩食を楽しみ続けることができれば、健康問題の改善に役立ち、減塩および無塩製品の市場がさらに拡大する可能性がある。

2      厚生労働省国民健康・栄養調査、2022

3      5.0 g/d未満(2012年、WHOガイドライン)

4      富士経済「ウェルネス食品市場の見通し20192020年の市場規模は予測である。

5      キリン調べ調査期間:20216月対象:首都圏在住の4079歳の男女(N=4,411) 形式:Web調査

全回答者の約47%が低ナトリウム食品を食べている、またはそうする意志がある。

 

キリンと明治大学宮下芳明研究室による社会課題解決に向けた共同研究

 この社会問題に対し2019年より、疑似感覚知覚における食べ物の味を変えるために人体に影響を及ぼさない非常に微弱な電流を利用して、「電気味覚」技術を宮下芳明研究室と共同で研究している。この研究の結果、減塩食品の旨味を増強する独自の電流波形を開発し、減塩している人/減塩していた人で減塩食品を食べたときに感じる塩味が約1.5倍に増強されることを世界で初めて確認した。

 

顧客ニーズを念頭においた装置の変化

 調査では、ラーメンと味噌汁が「塩摂取量を減らそうとしている人が薄味ではなく味を強く食べたい食品」で7位と6位にランクインした。ラーメンなど減塩で食い控えてきた風味の強い「ご褒美食」や、日常的に食べる癖はあるが味に不満がある美味しいスープへのニーズが高いことが分った。この減塩ニーズが高いお客の我慢をなくし、より楽しく食事をできることを目的に、ラーメンやスープを食べるのに適した「エレキソルトスプーン」と「エレキソルトお椀」を開発した。

 今回開発した「エレキソルトスプーン」と「エレキソルトお椀」とはキリンと宮下芳明研究室が開発し、社会的に使用するために箸型装置として提示した電気刺激波形技術をさらに進化させた。

6      キリンが調べた調査期間:20221月を対象:減塩を実践している3069歳の男女120名:CLT調査、複数回答可。

7      本調査結果のプレスリリース(2022411())

 

2社との共同実験を行い、装置を活用した健康的な食体験を提案

 塩分を減らした日常をより豊かにするために、食品会社として培った知見を生かし、「エレキソルトスプーン」や「エレキソルトお椀」で楽しめる健康食品も提案する。本年8月には、自社開発製品を含む国内最大級の商品数を取り扱う減塩専門店「Muen.com」を運営するノルトとオレンジページと共同で「エレキソルト」装置を用いた実証実験を行う。実証実験は8月から開始し、各社のメンバーを招待する。両社が共同開発した美味しい減塩食を「エレキソルト」装置とセットで提供し、満足度を評価する。

8 日本国内での減塩食品取扱数/ノルド調べ(202288()時点の公開情報による)

 

今後の展開

 「エレキソルト」装置の有用性は2023年の日本での発売を目指し、今年の実証実験を通じて検証される。減塩に不安を持っているお客に価値を届ける「エレキソルト」装置を開発している。今後は、お客に健康食品を届ける複数の企業と協業を進め、お客が持久力や不満を感じることなく、楽しく味わって、健康的な食生活を実現できるサービスの提供を目指していく。