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SUSTECプロジェクトは持続可能な3Dプリント・ナトリウム電池を開発する

SUSTEC Project Develops Sustainable 3D Printed Sodium Batteries

https://www.innovationnewsnetwork.com/     2022.09.29

 

オーボアカデミー大学の研究チームは、次世代の持続可能な電池設計を開拓し、

高度な3Dプリント技術を使用してナトリウム電池を開発している

 

 研究者達は3Dプリント技術と再生可能材料および高温技術を組み合わせて、リチウムの代わりにナトリウムをベースにした独自の次世代の環境に優しい電池を開発するSUSTECとして知られる学際的なプロジェクトを実施している。新しいナトリウム電池は、グリーン・エネルギー移行に電力を供給する上で重要なブレークスルーになる可能性がある。

 

SUSTECプロジェクト

 地球がカーボン・ニュートラルに向けて努力するにつれて社会における再生可能エネルギーの使用と電化の増加は、電気エネルギー貯蔵用電池の大きな必要性を生み出している。これは、指数関数的に増加する需要を供給し、地球の有限の鉱物資源を保護するために革新的な電池設計が不可欠であることを意味する。電池は2つの電極で構成されている。正に帯電したもの(カソード)と負に帯電したもの(アノード)である。カソードとアノードは電解質によって分離されており、電解質は通常塩含有液体である。

 SUSTECプロジェクトは、高度な3Dプリント技術を採用することにより、持続可能な電池を作成することを目的としている。大学のチームは、カソードのリチウムをナトリウムに、アノードのグラファイトを木質炭素質材料に置き換える予定である。さらに、これらの持続可能なナトリウム電池には、電極が統合される固体電解質が含まれる。

 

ナトリウム電池の進歩

 ナトリウムは地球上で最も豊富な材料の1つであるが、リチウムと様々な種類のグラファイトは限られた資源である。グラファイトはナトリウムと組み合わせるのに理想的な候補ではないため、チームは木材をベースにした環境に優しい炭素質材料を見つけようとしている。研究者達は乾留として知られる熱分解を使用して、ナトリウム・イオンを効率的に輸送する多孔質材料を設計する。

 オーボアカデミー大学天然材料技術研究所の再生可能材料化学教授であるChunlin Xuは、「電解質はアノードとカソード間のイオン輸送を担う電池部品である。我々のプロジェクトのユニークな点は、固体電解質に適切な特性を作り出すためにバイオベースの材料を使用しようとしていることである。」

 研究者達は3Dプリント技術とナノセルロースやリグニンなどの木質材料を利用して、新しいナトリウム電池の成分を開発する。全体的な目的は、3Dプリントを使用して将来的に完全な電池を製造することである。

 オーボアカデミー大学分子科学工学研究所の分析化学教授であるJohan Bobackaは、「ナトリウム電池のエネルギー密度はリチウム電池のエネルギー密度よりもいくらか低いため、新世代電池がより効果的であるとは期待していない。我々の基本的な目的は、電池を以前よりも持続可能な物にすることである。このプロジェクトはグローバルな研究に関連する貢献である。それはいくつかのユニークな側面を持っており、オーボアカデミー大学での電池研究のための新しい重要な開口部である。」