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新しい電極材料で改良されたナトリウム電池

Sodium Batteries Improved with New Electrode Material

https://www.innovationnewsnetwork.com/     2022.10.11

 

大阪公立大学の研究グループは、全固体ナトリウム電池を強化するために、より安価な正極を開始した。

 

 社会がカーボン・ニュートラルに向けてシフトし続けるにつれて、電気自動車と再生可能技術の需要は指数関数的に増加する。この需要の高まりを反映して、現在、電気自動車で使用されている電池技術であるリチウム・イオン電池などの高エネルギー密度の充電式電池の需要がある。しかし、電気自動車の普及を確実に高めるには、可能な限り最高の電池技術が使用されることを保証する必要がある。

 現在のリチウム・イオン電池に比べて資源に優位性を持っているナトリウム電池は、安価で新しい高性能材料の開発が」続いており、大きな注目を集めている。これらの電池をリチウム・イオン電池よりも有利に改善するために、大阪公立大学大学院工学研究科の作田敦准教授、辰岳郷正弘学長、林明俊教授らの研究グループは、全固体ナトリウム電池用にNa2FeS2で作られた新しい正極を開発した。これらの電池は高いエネルギー貯蔵容量と高い可逆性を備えている。

 「全固体ナトリウム電池で陰イオン-陽イオン酸化還元に由来する高容量および可逆性を有する正極材料としての硫化鉄Na2FeS2」という表題の研究論文がSmall誌に掲載された。

 

ナトリウム電池の利点

 ナトリウム電池は直ぐに入手できる安価な要素で構成されており、リチウム・イオン電池に比べて大きな利点がある。特定の地域でのリチウム採掘は非倫理的であると見なされることが多く、その抽出を支援するために水などの多くの天然資源が必要である。代わりにナトリウムを使用することで、より持続可能な形のクリーン・エネルギーを提供し、世界のクリーン・エネルギーへの移行に関する課題を取り除くことができる。

 しかし、リチウム・イオン電池と比較してナトリウム電池の性能は限られているため、この電池技術の大規模な展開が妨げられている。研究者達はこれを変えることを目指している。

 

新しい正極の使用

 300サイクル以上充放電できるNa2FeS2を用いたナトリウム電池用正極をチームは開発した。これは電極に長い寿命を与えるNa2FeS2と言うNaのユニークな結晶構造によるものである。大容量金属硫化物電極の大部分は充放電中に発生する大きな転位が不均一な反応と劣化に関連する変換型反応に依存している。しかし、チームが開発した新しい電極は挿入型反応を受けることにより、充放電時に高度な可逆性を達成することができる。これにより、多くのサイクルにわたってNa2FeS2の結晶構造を保持できるようになる。

 作田教授は次のように締めくくった:「新しいNa2FeS2の正極は材料、コスト、寿命の点でバランスが取れている;我々は全固体ナトリウム電池での実用化を期待している。」「今後は、急速充電のための高入出力の検討や、優れた負極材料の製造と試験により、より安価で高性能な全固体ナトリウム電池を開発するための研究を続けていく。」