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プルシアン・ホワイトはナトリウム・イオン電池にどのような革命をもたらすか

How Prussian White Will Revolutionise Sodium-Ion Batteries

https://www.innovationnewsnetwork.com/     2024.04.08

 

カールスルーエ工科大学に設立された新興企業Litonaは、ナトリウム電池の商品化に向けてプルシアン・ホワイトを工業規模で生産している。

 

 ナトリウム・イオン電池は強力で安全、持続可能なため、従来の電池に比べて多くの利点がある。リチウムやコバルトなどの重要な資源が含まれていないため、定置型エネルギー貯蔵システムや電動モビリティのコストも削減される。しかし、これまでのところ、生産に必要なエネルギー貯蔵材料が不足している。

 プルシアン・ホワイトは化学的にはよく知られた染料のプルシアン・ブルーに関連しており、主にナトリウム、マンガンをベースとしている。「このエネルギー貯蔵材料は、ナトリウム・イオン電池の陽極端子で使用できる。」とLitonaを設立したカールスルーエ工科大学応用材料研究所のSebastian Bücheleは述べた。「このような電池は安価で、必要な資源はすべて広く入手可能である。我々はそれらを電気自動車や定置型エネルギー貯蔵システムにすぐに使用できると確信している。

 422日から26日まで、Litonaはハノーバ・メッセの「エネルギー・ソリューション」ホールにあるカールスルーエ工科大学のブースでその作品を展示する。

 

プルシアン・ホワイトの量産

 しかし、ヨーロッパの産業は大きな供給問題に直面しているため、誰がそれらを生産するかはまだ不明である。

 Büchele「現時点では、研究機関ですら十分な量のプルシアン・ホワイトを購入するのがかなり困難となっている。ヨーロッパには生産者がほとんどいない。」「これは、有望なナトリウム・イオン電池技術の研究と移転を著しく阻害する。」

 Bücheleナトリウム・イオン電池技術の研究を始めたとき、プルシアン・ホワイトを自分で合成することに決めた。カールスルーエ工科大学でのこの取り組みにより、高品質の陽極材料が得られただけでなく、革新的な製造プロセスも実現した。

 より大きな市場にサービスを提供するために、彼は化学者のTom BötticherとともにLitonaを設立した。「当社の競合他社は、プルシアン・ホワイト類似品の生産規模を拡大することに問題を抱えていた。」とBücheleは説明した。「我々はこれらの問題を解決したと考えている。さらに、我々は素材をさらに改良する方法を開発した。」

 

ヨーロッパの電池産業にとって大きなチャンス

 スケーリング手順を検証し、プルシアン・ホワイトを次世代電池で使用するために最適化するために、Litonaはカールスルーエ工科大学のインフラストラクチャーを使用した。一方、両研究者はすでに最先端のプルシアン・ホワイト生産施設の設置を開始している。「我々はヨーロッパの電池生産には大きな可能性があると信じている。」とBötticherは述べた。

 「リチウム・イオン電池に関しては、近年アジアが先に行っている。現在、ナトリウム・イオン技術はヨーロッパで新たなスタートを切る素晴しい機会を提供している。我々は単なる傍観者ではなく、この発展に参加したいと考えている。」