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ナトリウム・イオン電池:新しい電池技術の有望な候補

Sodium-Ion Batteries: A Promising Candidate for New battery Technology

https://www.innovationnewsnetwork.com/     2022.07.14

 

アメリカエネルギー省の太平洋北西部国立研究所の研究チームは、実験室試験で寿命を大幅に延長したナトリウム・イオン電池を開発した。

 

ナトリウムは安価で豊富で、新しい電池技術の有望な候補と考えられている化学元素である。しかし、ナトリウム・イオン電池の性能が限られているため、この技術の広範な適用が妨げられている。

この問題に対応するために、米国エネルギー省の太平洋北西部国立研究所(PNNL)の研究チームは電池の液体コアを構成する成分の単純なシフトが、ナトリウム・ベースの電池で一般的に遭遇する性能上の問題を防ぐことを観察した。この研究結果は最近、Nature Energy誌に掲載され、電気自動車に電力を供給し、太陽からのエネルギーを貯蔵する可能性のある電池の有望なプロセスを提供する。

「ここでは、ナトリウム・イオン電池が長持ちし、環境に優しい電池技術になる可能性を原理的に示した。」とPNNLの筆頭著者であり、エネルギー貯蔵技術で23件以上の特許発明を持つ電池技術のパイオニアであるJiuang (Jason) Zhangは説明する。

エネルギー省のエネルギー効率と再生可能エネルギーのオフィス、車両技術オフィスは、この研究を支持した。イメージング研究は、生物環境研究局が講演するPNNLDOE科学局ユーザー施設である環境分子科学研究所で実施された。

 

ナトリウム・イオン電池の作成:正しい材料を組み立てる

電解質はエネルギーが電池内を流れるように維持する要素である。それは溶媒に塩を溶解し、正と負の電極間を流れる荷電イオンを生成することによって形成される。時間が経つにつれて、エネルギーの流れを維持する電気化学反応は遅くなり、電池は充電できなくなる。現在、ナトリウム・イオン電池技術では、このプロセスはリチウム・イオン電池よりもはるかに速く起こる。

PNNLの科学者達は、液体溶液と内部を流れる塩の種類を置き換えて、新しい電解質レシピを作成することで、この問題に取り組んできた。実験室でのテストでは、』これらの新しい設計は、以前に記録されたほとんどのナトリウム・イオン電池よりも高い4.2 V300サイクル後にセル容量の90%を保持しているため、耐久性があることが明らかになった。

さらに、ナトリウム・イオン電池を作成するための既存の電解質プロセスでは、マイナス端の保護膜(またはアノード)が時間の経過と共に溶解する。この膜は電池寿命を維持しながらナトリウム・イオンを通過させるため、重要であると考えられている。PNNL研究チームの新技術はこれらの保護膜を安定させ、新しい電解質は正極(または負極)に超薄型の保護層を生成し、ユニット全体のさらなる安定性に貢献する。

 

自然消火解決策

さらに、この技術は、温度変化に強く、高電圧で動作することができる自然消火解決策を利用している。この機能の重要な鍵は、アノード上に形成される超薄型保護層であり、一度形成されると、安定したままであり、化学者が作成しようとしているより長い電池寿命を提供する。「また、陰極でのガス蒸気の生成も測定した。」とこの研究の筆頭著者であり、PNNLの電気化学者であるPhung Leは述べている。「ガス生産量は非常に少ないことが分った。これは、高温で動作する可能性のあるナトリウム・イオン電池用の安定した電解質を開発するための新しい洞察を提供する。

 

 

ナトリウム・イオン電池のさらなる発展

これらの発展にもかかわらず、ナトリウム・イオン電池技術はエネルギー密度に関してリチウムの後ろにまだある。しかし、科学者達は温度変化に対する不浸透性、安定性、長いサイクル寿命などの利点に気付いた。これらは、将来の特定の小型電気自動車および配電網エネルギー貯蔵の用途において重要な機能と考えられている。

PNNLの研究者達は、この電池技術の設計を改良し続けるつもりである。チームは、回収またはリサイクルされなければ有毒で高価なコバルトを含めるという要件を減らし、最終的には排除するために、他の技術を試しているとLeは結論付けた。