ソルト・ルームは本当に健康上のメリットがあるか？
Do Salt Rooms Really Offer Health Benefits?
https://health.clevelandclinic.org/ 2022.05.22
ハロセラピーがその主張をじつげんするかどうかについての研究は限られている
ほぼ2世紀前、ポーランドである医師がヴィエリチカ岩塩坑の奥深くで苦労して働いていた人々について、興味深いことに気付いた。彼等には他の鉱山の労働者のような肺の問題はなかった。
今日のセラピー・ソルト・ルームはFeliks Boczkowski博士による昔の観察に感謝している。塩の治癒力に対する彼の信念は、ハロセラピー(塩療法)の健康トレンドの成長の基礎となっている。しかし、ここで疑問が生ずる。これらの新しい「塩の洞窟」は、呼吸の改善、肌の健康、さらにはストレスの軽減など、宣伝されている健康上の主張を実現するか？
機能性医学の専門家であるMelissa Young医師と一緒に見てみよう。
ソルト・ルームでとは何か？
ソルト・ルームでは、室内の空気が微細な塩の粒子にさらされる乾式ソルト・セラピーが提供される。ソルト・セラピー協会によると、セラピー・ルームには2つのタイプがある：
● 「アクティブ」ルームには、塩を粉砕して粒子を循環させる。機械が備わっており、塩を吸い込んで肌にさらすことができる。この実践はハロセラピーとして知られている。
● 「受動的な」ルームは大量の塩で満たされている。通常、死海、ヒマラヤ、岩塩などのさまざまな塩が、温度管理された空間を満たしている。これらは通常、より瞑想的な設定である。
「真のハロセラピー体験とみなされるには、粒子発生器のある部屋が必要である。」とYoung博士は言う。
ソルト・ルーム・セラピーの利点
オフラインで検索すると、ソルト・ルームに関する息を呑むような証言が溢れている、逸話によると、特に呼吸器系の問題や感染症の軽減に関しては、人々は人生を変えると言っている。しかし、実証済みの研究に関しては、その主張を裏付ける科学的証拠が山のようにあるわけではない、とだけ言っておく。
「場合によっては、特定の治療法を検討する適切に設計された研究が十分に存在しないことや、さまざまな研究結果が矛盾していることにイライラすることがある。」とYoung博士は指摘する。「しかし、その治療方法に潜在的な利点がないという意味ではない。」
人々がソルト・ルームに行くと言われる理由はここにある。
呼吸の改善
肺に空気を出入りするのに問題がある場合、ハロセラピーで改善できる健康上の問題のリストに載っている可能性がある。さまざまなサイトが、ソルト・ルームが以下の解決に役立つと主張している：
● 喘息
● 気管支炎
● 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
● 嚢胞性繊維症
● 呼吸器アレルギー
● 喫煙者の咳(慢性咳と呼ばれる)
それでは塩辛い空気はどのように変化をもたらすか？「塩の粒子を吸い込むと粘液が薄まり、咳がより活発になり、痰が排出しやすくなる。」とYoung博士は説明する。「それは物事を動かす。呼吸に問題を抱えている人にとって、それが鍵となることが良くある。」
しかし、これらの理論を裏付ける厳密な研究はない。「ハロセラピーに関するデータはまちまちである。」とYoung博士は言う。
感染症と戦う
塩を使って副鼻腔の汚れを取り除くというアイデアは、それほど画期的なものではない。生理食塩水のスプレーとリンスは呼吸を改善するために鼻と副鼻腔を洗い流すための頼りになる方法である。
しかし、乾燥した塩を使うことで同じことが起こるか？繰り返しになるが、この主張を検証するのに十分な研究はない、とYoung博士は言う。
より健康な肌
塩分を含んだ空気を体に流すと、自然に肌の水分量が高まり、肌が滑らかになり、斑点が目立たなくなると言われている。pHレベルのバランスを整えたり、湿疹を治したりすることについても沢山話されている。
本当か？おすらく答は推測できるであろう。「科学的な証拠はない。」とYoung博士は言う。
ストレスの軽減
穏やかな音楽が流れる、塩で満たされた静かで薄暗い部屋は、確かに瞑想に理想的な環境である。「神経系を落ち着かせ、ストレスを軽減できる環境である。しかし、塩分を除いても同じことが言える。「それがなくても同じ効果が得られる。」とYoung博士は言う。
ソルト・ルームを訪れるリスクはあるか？
比較的健康であれば、ソルト・ルームでセッションを過ごしても問題はないとYoung博士は保証する。ただし、彼女はいくつかの注意点を提示している。
● さらに咳をする可能性がある。空気中塩粒子により、咳が少し増える可能性がある。「患者が行なったところ、その後咳が多くなったと言われてことがある。」とYoung医師は報告する。「それはただ注意すべきことである。」
● 定義されたハロセラピー基準はない。「ここは西部開拓時代で、誰もが違うやり方でやっている。」とYoung博士は言う。彼女は、医療専門家が治療を監督するオフィスやスパのソルト・ルームを探すことを提案している。
● 薬と同じではない。ソルト・ルーム。セッションと医療ケアを混同しないこと。「それは薬の代わりになるものではない。」とyoung博士は言う。
● 質問をする。すでに健康上の問題がある場合は、安全のためにハロセラピーを試す前に医師に相談する。
ソルト・ルームは試してみる価値があるか？
塩の部屋は有益か？「そうかもしれない」とYoung博士は言う「特に呼吸に問題がある場合には、試してみる価値があるかもしれない。しかし、それは通常の治療に代わるものではなく、追加の治療であると考える。」
