塩代替品は賢い選択か?
医師に聞く
Are Salt Substitutes a Smart Choice?
By Christopher P. Cannon
https://www.health.harvard.edu/ 2025.05.01
Q: 高血圧でナトリウム摂取量を減らそうとしている。カリウムを含む塩代替品を検討すべきか?
A: 端的に言えば、そうです。研究によると、通常の塩の代わりにカリウムを含む代替品を使用すると、血圧と脳卒中のリスクを低下させることができることが示されている。しかし、日常的に摂取する食品のナトリウム含有量にも注意し、カリウムを豊富に含む果物や野菜を食事に取り入れることも重要である。
十数年にわたり、集団を対象とした研究で、高ナトリウムと高血圧の関連性が観察されてきた。特に、ナトリウムは多くカリウムは少ない食事は、血圧を上昇させ、心血管疾患(脳卒中を含む)や早期死亡のリスクを高めることが知られている。これらのデータに基づき、研究者達は人々がナトリウム摂取量を減らす方法を模索してきた。
私が日常的に行なっており、患者にも勧めていることの1つは、スーパーで食品ラベルをよく見ることである。食品によっては、驚くほど多くのナトリウムが含まれていることに驚かされる。(ちなみに、アメリカ心臓病学会は、1日の食事で摂取するナトリウム量を2,300 mg以下に抑え、理想的には1日1,500 mg程度に抑えることを推奨している。)加工肉や多くの缶詰スープは塩辛いことで有名であるが、パン、冷凍食品、調味料など、他の多くの製品にもナトリウムが多く含まれている。ナトリウム含有量はブランドによって大きく異なる。例えば、サルサ1食分に含まれるナトリウム量は、1日の推奨摂取量の6%から20%以上にまで及ぶ。
もう1つの戦略は、通常の塩を、塩化ナトリウムの一部を塩化カリウムに置き換えた代替食塩に置き換えることである。数年前、研究者達は中国の農村部で約2万1000人の成人を募集し、半数に塩化カリウムを25%含む代替食塩を与えた。残りの半分には、通常の塩を使い続けるように指示した。被験者の平均年齢は65歳で、ほとんどが高血圧で、73%が既に脳卒中を経験していた。約5年間の追跡調査の結果、代替食塩を使用した人々の脳卒中、主要な心臓関連疾患、そして死亡率はわずかに低下した。重要なのは、代替食塩を使用した人々は、カリウム値の上昇(潜在的に懸念される副作用)を示す可能性が高くなかったことである。今年初め、JAMA Cardiology誌に掲載された脳卒中歴のある参加者のみを対象とした新たな分析によって、これらの結果が再確認された。
次にスーパーに行く際は、塩の代替品をチェックしてみる。「ライト」や「低ナトリウム」と表示されているものが多い。中には塩化カリウム100%でナトリウムを含まないものもあるが、中には苦味や金属のような後味を感じる人もいる。ホウレン草、サツマイモ、マスクメロン、バナナ、アボガドなど、カリウムを豊富に含む農産物を買物カゴに加えるのも良いであろう。