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なぜ塩分が欲しくなるのか?原因と欲求を抑えるヒント

Why Do You Crave Salt? Causes and Tips to Reduce Cravings

By Chelsea Rae Bourgeois

https://www.health.com/      2025.06.05

 

 塩分への欲求は自然なことである。塩に含まれる主要なミネラルであるナトリウムは、多くの体の機能に不可欠であり、毎日の食事で十分に摂取することが重要である。しかし、頻繁または激しい欲求は、根本的な問題の兆候である可能性がある。

 

塩分への欲求の原因とは?

 塩にはナトリウムというミネラルが含まれており、体の正常な機能に重要な役割を果たす。ナトリウムは筋肉の動きを助け、神経に信号を送り、体内の適切な水分量を維持する。毎日の食事にはナトリウムは必要であり、塩はそれを摂取する最も簡単な方法の一つである。

 人は時々、塩辛い食物を強く欲しがることがある。これにはさまざまな理由が考えられる:

  脱水症状:過度の発汗、嘔吐、排尿などによって体内の水分が過剰に失われると、ナトリウムも同時に失われる。そのため、ナトリウム濃度を補給し、体液を維持するために、塩辛い食物を食べたくなることがある。

  ナトリウム欠乏症:何らかの理由でナトリウム濃度が不足すると、脳に塩分を摂取するように信号が送られる。

  感情的な摂取:研究によると、ストレス、悲しみ、不安を感じているときには、塩辛い食物に手を伸ばしやすくなることが分かっている。味覚受容体が塩分濃度の高さを感知すると、セロトニンとノルアドレナリンが放出される。これらは「気分を良くする」ホルモンで、うつ病や不安によってしばしば乱れる。

  睡眠不足:研究によると、質の高い睡眠が十分に取れてないと、食生活に影響を与える可能性がある。眠りが浅い、あるいは睡眠が中断された夜の後には、塩辛い食物をつい食べてしまう可能性が高くなる。

  健康状態:特定の病状は塩分への欲求を促す可能性がある。例えば、アジソン病は副腎に影響を与え、副腎はナトリウムと水分の量を調節するホルモンを分泌する。嚢胞性繊維症やバーター症候群もナトリウム濃度に影響を与え、塩分への欲求を助長する可能性がある。

塩分を定期的に、または大量に欲しがる場合は、医療提供者または管理栄養士に相談することを検討する。彼等は根本的な原因を特定し、塩摂取量のバランスを見付ける手伝いをしてくれる。

 

塩分が不足するとどうなるか?

 ナトリウムは健康全般に不可欠であり、バランスの取れた食事においては塩は重要な要素である。塩には、体内の水分バランスをコントロールすることで体の正常な機能を助けるミネラルが含まれている。また、神経や筋肉の効率的な機能にも役立つ。

 食事で十分な塩分を摂取しないと、電解質バランスが崩れる可能性がある。これは、体内の特定の栄養素が不足していることを意味する。体内に十分な電解質がないと、めまい。疲労感、脱力感を感じることがある。さらに深刻なケースでは、危険な長期的な影響が生じる可能性がある。

 管理栄養士は、あなたの生活習慣、身体活動、病歴に基づいて、必要な塩分量を判断する手伝いをする。

 

塩分は摂り過ぎても大丈夫?

 時々塩分が欲しくなるのは自然なことであるが、日常的に塩分を摂り過ぎると健康に悪影響を与える可能性がある。高ナトリウム血症は、体内に過剰な水分を蓄えさせ、心臓への負担を増やし、他の臓器に負担をかける。これは高血圧につながり、長期的には心臓、腎臓、脳に悪影響を及ぼす可能性がある。

 アメリカ心臓病学会と最新のアメリカ人のための食事ガイドラインは、健康上の問題のない平均的な成人の1日当たりのナトリウム摂取量を2,300 mg以下に制限することを推奨している。これは、塩分として小さじ1杯分程度に相当する。しかし、ナトリウムの必要量は、水分の喪失、身体活動、病歴などの他の要因によって異なる場合がある。

 

塩欲求を管理・軽減する方法

 推奨摂取量を守るために、塩欲求を管理・軽減する方法はいくつかある。いくつかの例を挙げる:

  十分な睡眠を取る:研究によると、質の高い睡眠を十分に摂ると、特に塩欲求を始めとする食欲をコントロールするのに役立つことが分っている。

  トレスを管理する:運動や、瞑想、日記をつけること、深呼吸と言ったマインド・フルネス活動を行なうことで、ストレスや塩欲求を引き起こす可能性のあるその他の感情を管理するのに役立つ。

  果物と野菜をもっと食べる:果物と野菜はナトリウムが少なく、多くの栄養素と健康効果をもたらす。塩分の多いスナックやサイドディッシュを新鮮な果物やロースト野菜に置き換えることで、全体的な塩摂取量を減らすことができる。

  水分補給:1日を通して十分な水を飲み、運動中は発汗による過剰なナトリウム損失を防ぐために、電解質飲料の摂取を検討する。

  低塩分のスナックを選ぶ:無塩ナッツやプレーン・ポプコーンコーンなどの減塩スナックは、塩分を欲している時や、塩辛いチップスよりも栄養価が高いときに役立つ。

  調味料を工夫する:ハーブやスパイスを使えば、塩を使わずに食事に風味を加えることができる。さまざまな調味料を使うことで、食生活と健康全体に良い影響を与えることができる。

 

医療機関を受診するタイミング

 日常的に塩辛い物が欲しくなるのは、体が何かを伝えようとしているかもしれない。塩辛い物が欲しくなるのは、ストレス、脱水症状、その他の深刻な健康問題が原因である可能性がある。医療専門家は、あなたの食物への欲求とその意味を理解するお手伝いをする。

 医師は症状について質問し、ナトリウム濃度を調べる検査を行なうことがある。また、塩欲求の原因を特定するために、ホルモン・レベルや腎機能も検査することもある。

 医師は、症状と検査結果を幅広く理解した上で、一人一人に合わせたアドバイスを提供できる。食事療法を通して栄養不足を補うために管理栄養士との連携を勧めたり、さまざまな療法で睡眠の質や精神状態の改善に取り組んだりすることもある。

 

簡単な復習

 塩辛い食物への欲求は正常なものである。持続的または激しい欲求は、根本的な健康状態、脱水症状、または栄養不足を示している可能性がある。塩には、筋肉の動き、神経機能、そして体内の水分バランスに重要なミネラルであるナトリウムが含まれている。

 研究では、睡眠不足やストレス、うつ病、不安と言った感情が、塩欲求を含む食物への欲求の増加と関連していることも示されている。食物への欲求の根本原因を理解し、ニーズに合った食生活習慣を確立するために、かかりつけの医師に相談する。