戻る

なぜクリーン・エネルギーの将来は溶融塩、列車、

クレーンに依存するのか

Why Clean Energy’s Future May Depend on Molten Salt, Trains, and Cranes

By Danielle Abril

https://fortune.com/  より   2021.02.16

 

 再生可能エネルギーの信頼性を高める努力で、ある会社は丘を上り下りする多くの岩石を運ぶ列車を送りたいと思っている。他の会社はクレーンを使用して重いブロックを積み重ねたり積み下ろしたりしたいと思っている。新興企業は再生可能エネルギーへの移行を支援するために、多くは遠いように見える新しい技術を生み出すてまに競争している。彼等の目標は太陽光や風力産業の最大の問題の1つを解決することである、すなわち、曇り、暗闇、または無風で生ずる発電できない期間を十分に埋めるために、長期間にわたってエネルギーを蓄える方法を開発することである。

 「人々はあらゆる事を試みてきたが、これまでのところ誰も上手く出来なかった。」と投資銀行会社JMPセキュリティーズのアナリストであるジョー・オーシャは言っている。エネルギー貯蔵の新興企業はジョー・バイデン大統領の下でクリーン・エネルギーへの積極的なシフトが期待されることに大きなチャンスを見出している。2050年までに、彼はアメリカが排出量と同じくらい多くの汚染を排除するポイントである排出量が正味ゼロになることを望んでいる。

 実際には、それは国の太陽エネルギーと風力エネルギーへの依存度を高めることを意味する。それはまた、現在多くの電力会社が使用しているリチウム・イオン電池よりもエネルギー貯蔵に優れた技術を生む出すことを意味するが、高価でかさばりすぎて、大量のエネルギーを数日間貯蔵することは出来ない。

 この問題に取り組んでいる会社の1つは2018年にグーグルの「ムーンショット」ファクトリーであるグーグルXからスピン・アウトしたスタートアップであるマルタ社である。マルタ社は溶融塩と冷却剤を使用して太陽光発電所と風力発電所から生成されたエネルギーを貯蔵することが最も安価で最も効果的な技術になると確信している。

 必要に応じて565℃で液化された塩と- 60℃で貯蔵された冷却剤からのエネルギーが電気に変換される。マルタ社CEOのラムヤ・スワミナサンは、貯蔵システムで使用されている材料が他のコンテキストで実証済みの実績を持っており、障害の危険性を軽減しているため、同社はライバルよりも有利であると思っていると言う。「それらは何十年もの間に作られた工業製品である。」と彼女は言う。

 マルタ社の計画されたシステムは石油タンク農場のように見えるが、少なくとも10エーカーをカバーしている。それは1キロワット時当たり100ドル未満のコストで少なくとも10時間、100メガワット(大きな町には十分)を提供する。マルタ社の最大の投資家はブレークスルー・エネルギー・ベンチャーズであり、グーグルXからのスピン・アウト後に2600万ドルの投資を主導した。ベンチャー・キャピタル社はテクノロジーの億万長者であるビル・ゲイツ、ジェフ・ベゾス、アリババの共同創設者であるジャック・マーなど、資金力のある投資家を誇っている。しかし、マルタ社は大きな課題に直面している。今のところ、顧客はなく、最初のプロジェクトが2024年または2025年までにデビューすることは期待していない。

 マルタ社はまた、2019年に閉鎖する前に溶融塩を使用してエネルギーを貯蔵していたラスベガス近郊のクレセント・ディユーンズ・ソーラー・プラントを開発したソーラー・リザーブのような破産した前任者とは異なることを証明する必要がある。別の苦労している会社アクイオンはエネルギーを蓄えるために塩水を使用する電池を作成した。

 マルタ社はまた、その上、システムを構築し維持するための莫大な費用を負担しなければならない。次に、マルタ社のような貯蔵技術を考慮してない業界団体によって定められた規則や規制の障害がある。その間、マルタ社の競争相手は取引に署名し、新しい投資を上陸させている。例えば、ブロックを積み重ねたり積み下ろしたりしてエネルギー貯蔵するスイスを拠点とするエナジー・ボールト社は2019年にソフトバンクから1.1億ドルの投資を獲得した。同社は例えば、ソーラー・ファームからのエネルギーを使用してブロックを積み重ねて塔を作り、電力が必要になったとき積み上げを解き、生成された運動エネルギーを電気に戻す。

 一方、サンタバーバラに本拠を置くARES North America社は岩石を満載した列車を丘の上下に走らせることに取り組んでおり、ラスベガス郊外での最初のプロジェクトを10月に着工した。同社は再生可能エネルギーからの電力を使用して丘を登る鉄道車両を運転することに期待している。その後、丘の上の車両を転がして放出されたエネルギーを電気に変換する。

 「誰が適切なタイミングで市場に参入出来るかが重要である。早すぎたり、遅すぎたり、銀行に預けられなかったり、技術が機能しなかったりする可能性がある。」とエネルギーの買い手と売り手向けのソフトウェア-・サービスであるLevellTen Energyのエネルギー貯蔵コンサートであるパトリック・レスリーは言う。

 調査会社ブルームバーグNEFによると、自動車業界はリチウム・イオン電池の革新に数十億ドルの投資を注ぎ込み、コストを1キロワット時当たり平均137ドルに削減するのに役立っている。電池はまた、以前よりも長期間にわたって電力を供給することができる。電池技術の急速な進歩は公益事業にサービスを提供することに焦点を当てている振興のエネルギー貯蔵会社にとって課題となっている。これらの貯蔵会社は需要の増加に応じて電力会社が簡単に電力を利用できるように、自社の技術が電池よりも長くエネルギーを貯蔵することを望んでいる。「リチウム・イオンと競争しようとしている配電網貯蔵[会社]なら、それは不可能になるだろう。」と電池材料会社Sila NanotechnologiesCEOであるジーン・ベルディチェフスキーは言う。リチウム・イオン電池は時間経過と共に改善され、安価になるが長時間のエネルギー貯蔵には理想的ではないとベルディチェフスキーは言う。これは、電力会社がエネルギーを蓄える時間を延長するたびに、より多くの電池を購入するためにお金を費やす必要があるのに対し、代替手段を使用する方が費用効果が高い可能性があるためである。例えば、マルタ社はタンクに溶融塩と冷却剤を追加するだけで10エーカーの施設から電力を供給できる時間を10時間から16時間に延長できると述べている。

 長期のエネルギー貯蔵の需要はまだ限られているが、一部の州はすでに振興技術を利用しようとしている。昨年、カリフォルニア州の8つの公共電力機関が500メガワットの長期貯蔵を提供する企業の提案依頼書を発行した。そして5月に、ミネソタ州の電力会社はマルタ社の競合企業であるForm Energyとエネルギー貯蔵プロジェクトを試験的に実施する契約に署名した。これは2025年頃に初公開される予定である。

 低コストで長時間の電池で5000万ドル以上を調達したFormは一度に150時間で1メガワットの電力を供給することが期待されている。FormCEOであるマテオ・ジャラミロは、都市が極地渦を通過し、汚染された石炭火力発電所を廃止するにはこれで十分であると述べている。

 これらの新しい技術は再生可能エネルギーの将来に大きな影響を与え、最終的には気候変動との戦いに役立つ可能性がある。しかし、JMPアナリストのオーシャは、それを見たときにそれを信じると言う。「話は安い。上手く行くことを示すのではなく、上手く行く物があると言ってもいいだろう。」と彼は言った。