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マギル大学の研究者がナトリウム・イオン電池の

画期的な開発に着手

McGill Researchers Pioneer Sodium-Ion Battery Breakthrough

By Keith Beers, Sophie Lee, Kathryn Holguin

https://www.environmentenergyleader.com/     2024.07.12

 

リチウムはエネルギー密度が高く評価されているが、電池用途ではナトリウムの方が重量面で有利である。ナトリウム・イオン電池はリチウム・イオン電池より最大30%軽量であるため、重量が重要な要素となる携帯型電子器機や電気自動車に大きなメリットをもたらす可能性がある。

 

Donna Gregory

 リチウムは、その長寿命と安定したエネルギー貯蔵特性から電池に広く使用されているが、有限の資源である。リチウムの供給が限られていることへの懸念が高まる中、研究者は電池製造用の代替材料を積極的に探している。マギル大学のチームは、サスカッチワン大学のカナダ光源を利用して、電池のリチウムの大部分をナトリウムに置き換える方法を最近開発した。

 

安定性の課題を克服

 電池にナトリウムを使用する際の主な障害は、空気にさらされるとカソード材料が不安定になることである。これは、現在、リチウム・イオン電池を製造している既存の製造施設を改造する上で大きな課題となる。マギル大学化学部の准教授であるEric McCallaは、ナトリウムは空気中の二酸化炭素や水蒸気と反応して炭酸ナトリウムなどの生成物を形成すると説明している。水が材料に浸透すると、電池の使用に適さない構造に変わる。

 

革新的な研究手法

 McCallaのチームは、いわゆる「ワイルドな置換」を採用し、52種類の異なる元素がナトリウム・イオン電池の安定性に与える影響を同時にテストした。カナダ光源施設のHXMAビームラインは、使用後の電池に関する詳細な局所情報を提供し、研究者はナトリウムと一緒に使用した場合に同様の元素が電池の安定性を効果的に維持するかを特定できた。

 McCallaのチームは、多数の相互に関連する変数を含む、生成された膨大な量のデータを処理するために、機械学習を活用した。この強力なツールは、変数を切り離し、競合するすべてのパラメーターを考慮した高度な関数を作成することで、大量の複雑な情報を合理化するのに役立った。このアプローチにより、研究者達は、どの材料が実際にパラメーターに影響を与え、どの変数がそれほど重量でないかを見極めることができた。

 

ナトリウム・イオン電池の今後の展望

 ナトリウム・イオン電池は有望ではあるものの、特に電気自動車においてリチウム・イオン電池を完全に置き換えるにはまだ長い道のりが残っている。McCallaは、リチウム電池が40年以上にわたる研究開発の恩恵を受け、代替品のハードルは高く設定していることを認めている。しかし、彼は進歩について楽観的であり、これらの材料をさらに改良するというチームの取り組みを強調している。

 カナダ光源施設で実施された研究は、より持続可能なエネルギー貯蔵解決策に向けた重要な一歩である。サスカッチワン大学の国立研究施設であり、カナダ最大の科学プロジェクトの1つであるCLSは、毎年1,000人を超える学術、政府、産業界の科学者を受け入れ、健康、農業、環境、先端材料に関する革新的な研究を促進している。

 カナダ革新財団、自然科学および工学研究会議、カナダ保健研究機構、サスカッチワン州政府、サスカッチワン大学などの組織からの継続的な支援により、リチウム電池に代わる持続可能な代替品の追求は、研究と発見の重要な分野であり続けている。