NGKナトリウム硫黄電池が70 MWhの日本プロジェクトに導入され、アメリカの電力会社Duke Energyの試験運用に選定される
NGK Sodium-Sulfur Batteries Deployed at 70 MWH Japan Project, Picked for Pilot by US Utility Duke Energy
By Andy Colthorpe
https://www.energy-storage.news/ 2025.05.27
日本ガイシの独自技術である電池技術は、アメリカでパイロット試験が開始される中、日本国内で稼動を開始したばかりの大規模プロジェクトに採用されている。
日本ガイシのナトリウム硫黄(NAS)電池は、電力網規模のエネルギー貯蔵用途において、リチウム以外の電池化学技術の中で最も商業的に成熟した技術の一つである。同社は、この技術を最大約7時間持続する中長時間エネルギー貯蔵用途に適していると謳っている。
この高温電池は、硫黄アノードとナトリウム・カソードを用いて、300 ℃で動作し、最大放電深度で毎日サイクル運転を行なっても、年間の容量低下は1%未満となるように設計されている。
NAS電池システムの最新モデルであるモデルL24は、昨年4月に発売され、日本ガイシとその技術パートナーであるドイツの化学会社BASFによって発表された。当時、日本ガイシは、20年以上前にこの技術が初めて市場に投入されて以来、世界250ヶ所以上の20 MW/5,000 MWhを超えるナトリウム硫黄蓄電池システムが導入されていると発表していた。
三重県における東邦ガスのプロジェクト(稼働時間約6時間)
日本のガス会社であり公益事業会社でもある東邦ガスは、名古屋市に本社を置き、系統規模のNAS電池プロジェクトを完了した。
津蓄電池工場は、本州南西部に位置する三重県津市にある。このプロジェクトは、液化天然ガス基地の跡地に建設され、出力11.4 MW、蓄電容量69.6 MWh(定格出力で約6時間)のNAS電池を備えている。
Energy-Storage.newsの報道によると、日本ガイシと東邦ガスは2022年8月にこのプロジェクトを発表した。当時、東邦ガスはこのNAS電池はオフピーク時または再生可能エネルギーが豊富な時間帯に充電し、ピーク時に放電することで、同社の需要調整を支援するとともに、エネルギー貯蔵システムが利用できる電池市場の多様な機会にも参加できると説明した。
このプロジェクトは、経済産業省資源エネルギー庁を通じてエネルギー貯蔵の導入を促進するための日本政府の補助金も活用した。この中央政府の制度は、設備投資額の最大30%を支援する。東邦ガスのプロジェクトは、2021年度に承認された。
Duke Energy、80以上の技術の中からNAS電池を選択
アメリカの電池会社Duke Energyのウェブサイトに掲載されたブログ記事によると、同社の新興技術評価チームは、80以上の異なる選択肢を評価した後、NAS技術を試験導入対象として選定した。
この試験プロジェクトは、フロリダ州にあるDuke EnergyのSuwanne River発電所に設置される。同発電所は、長年にわたり天然ガス・ピーク発電容量と太陽光発電の増強のため、既に数多くの改修工事を実施している。
同社によると、このシステムは出力5 MW、稼働時間8時間(約40 MWh)で、リチウム・イオン電池エネルギー貯蔵システムの代替としてナトリウム硫黄蓄電池の実現可能性を評価するために設計される。
Duke Energyは、この技術の魅力として、ナトリウムと硫黄の豊富さと比較的低コスト、そしてNAS電池の高いエネルギー効率を挙げた。
「このパイロット・プロジェクトは、この技術の性能、効率、そして電力系統との相互作用を研究する上で役立つであろう。」とDuke Energyのプロジェクト発起者兼実行開発者であるMatt Giltonは述べた。
Giltonは、ものプロジェクトの研究結果は米国電力研究所を含む組織と共有されると付け加えた。