ナトリウム・イオン・スタートアップのPeak Energyが
シリーズAを終了、2027年に量産を目指す
Sodim-Ion Startup Peak Energy Closes Series A, Targets Mass Production in 2027
By Andy Colthorpe
https://www.energy-storage.news/ 2024.07.19
「世界的に実証されたナトリウム・イオン電池システムを推進する最初のアルカリ・ベンチャー」を自称するスタートアップ企業Peak Energyは、シリーズAの資金調達ラウンドで5,500万ドルを調達した。
コロラド州デンバーとカリフォルニア州サンフランシスコに拠点を置く同社は、2025年にナトリウム・イオン電池とエネルギー貯蔵システム技術の試験生産を開始する前に資金を確保したと水曜日(7月17日)に発表した。
この投資ラウンドは、シンガポール政府所有の投資グループであるTemasekの初期段階の技術ベンチャー・キャピタル部門であるXora Innovationが主導し、重要インフラ産業への投資会社Elipse、戦略的パートナーであるTDK Ventures、およびその他の関係者が参加した。
ナトリウムはリチウムよりもはるかに安価で豊富な材料である。ナトリウム・イオン電池はリチウム・イオンほど高いエネルギー密度を実現できず、サイクル寿命も短くなると予想されている。
しかし、大規模に生産すれば、低コストになる可能性があり、熱暴走のリスクも低くなると予想されている。
ナトリウム・イオン電池もリチウム・イオン電池と同じ製造方法の多くを使用できる。短距離電気自動車や据置型電池エネルギー貯蔵システムなど、要求の厳しくない用途向けの潜在的な解決策として認識されている。
Peak Energyは、CEOのLandon Mossburgが率いる。Mossburgはスエーデンの電池スタートアップ企業Northvoltの北米部門と、それ以前はTesla Energyに在籍していた。同社は2023nenn10月にステルス・モードから脱し、Eclipseが主導し、TDKベンチャーズが参加したラウンドで1000万ドルを調達したと発表した。
当時、同社は既存のリチウム・イオン解決策よりも50%低いコストで送電網スケールのBESS技術を提供したいと述べた。
Peak Energyはアメリカで製品を製造し、来年開始予定のパイロット・プログラムに6社の顧客が参加する予定であるとのべた。顧客名は明らかにされていないが、国内最大手の独立系発電事業者3社と電力会社1社が含まれると同社は主張している。
同社は2027年に大規模工場を開設し、2030年までにkWh当りのコストを業界最低水準にすることを目標としている。
Peak Energyはナトリウム・イオン競争の唯一の馬ではない
同社には競争相手がいる。Peak Energyはアメリカ初であると主張しているが、ライバルのナトロン・エナジーは4月にアメリカ、ミシガン州に製造工場を開設した。稼働開始後、ナトロン工場は「プルシアン・ブルー」電極を特徴とする特許取得済みの電池技術の年間生産能力が600 MWになる。Peak Energyと同様に、ナトロンはデータ・センターをナトリウム・イオン電池の潜在的需要の高い最終市場とみている。
現在、リチウム・イオン生産と技術開発で世界をリードしている中国では、世界初の送電網規模ナトリウム・イオンBESSプロジェクトの50 MW/100 MWhフェーズが今年初めに稼働を開始した。
このプロジェクトは現在、185 Ahのナトリウム・イオン電池と21の電力変換システム・ユニットを使用する42のBESSコンテナで構成されており、100 MW/200 MWhに拡張するある計画である。
他のさまざまな新興企業や既存の電池メーカーが、ナトリウム・イオン分野での覇権を狙っている。ドイツのVartaは5月に、ドイツ政府が支援するR&Dコンソーシアムを主導すると発表した。
Peak Energyの元雇用主であるNorthvoltもこの技術を検討しており、他の2つの欧州の新興企業であるTiamatとAltrisも1月に資金を調達した。また、やはり中国を拠点とする世界最大の電池メーカーであるCATLもナトリウム・イオン電池を開発しており、昨年末には国営電力会社である中国三峡集団がアジアの大国にギガワット時規模の工場を開設した。