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HZBチームがナトリウム電池の急速充電の可能性を解き放つ

HZB Team Unlocks Fast-Charging Potential for Sodium-Ion Batteries

By Carla Westerheide

https://www.electrive.com/    2025.08.27

 

ベルリン・ヘルムホルツ研究所(HZB)の研究者達は、ナトリウム・イオン電池の新たな貯蔵メカニズムを発見した。この研究は、正極材料におけるナトリウム・イオンと溶媒分子の共挿入が可逆的かつ高速であり、高効率な高レート・ナトリウム・イオン電池を実現することを示している。

 

 本研究は、ナトリウム・イオン正極における溶媒の共インターカレーションが、容量損失を最小限に抑えながら高レート性能を実現することを実証し、先進的なナトリウム・イオン電池の新たな設計戦略を示唆している。Philipp Adelhelm教授率いる本研究は、長年電池の安定性に悪影響を与えると考えられてきた共インターカレーションが、正極材料の性能向上に寄与することを示している。

 従来のリチウム・イオン電池およびナトリウム・イオン電池は、イオンが電極構造に

移動するインターカレーションを利用している。一方、イオンと溶媒分子が共移動する共インターカレーションは、従来、急速な故障の原因となると考えられていた。

 HZBの研究者達は、国際的なパートナーと協力し、正極材料におけるイオンと溶媒分子の共インターカレーションが可逆的かつ迅速なプロセスであることを実証した。この発見は、高充電速度を実現する高効率ナトリウム・イオン電池への道を開くものである。

 「共インターカレーションのプロセスは、非常に効率的で急速充電可能な電池の開発に利用できる可能性がある。であるからこそ、このテーマをより詳細に調査したいと考えた。」とAdelhelmは述べている。

 研究チームは、層状遷移金属酸化物を潜在的な正極ホストとして研究した。HZBYanan Sun博士は3年間にわたり、体積変化の測定、DESYPETRAⅢにおけるシンクロトロン放射光を用いた構造研究、そして電極-溶媒系の電気化学試験を実施した。研究者達は、将来の材料における共インターカレーション挙動を予測するためのパラメータを特定した。

 「正極材料における共インターカレーションのプロセスは、グラファイト負極で起こるものとは大きく異なる。」とSunは説明する。グラファイトを用いたHZBに関するこれまでの研究では、グライム分子によるナトリウムの可逆的な移動が示されていたものの、正極への応用は依然として難しかった。今回の研究では、正極は容量を維持しながら、異常に高い反応速度を示した。

 「とりわけ、特定の正極材料には大きな利点がある。反応速度は超高速で、まるでスーパー・キャパシタのようである。」とSunは指摘する。

 「共インターカレーションの概念を探求することは、従来の電池の知識に反するため、極めてリスクの高かいものであった。そのため、このアイデアのために欧州研究会議(ERC)からERCコンソリデーター助成金を通じて資金援助を受けたことに、大変感謝している。」とAdelhelmは強調する。