ベルリン電池研究所BAMが全固体ナトリウム電池を開発
Berlin Battery Institute BAM to Develop Solid-State Sodium Batteries
By Chris Randall
https://www.electrive.com/ 2025.05.16
ドイツ連邦材料試験研究所(BAM)の研究者達は、全固体電池をより高出力化し、日常使用に適したものにするための新たなアプローチを開発した。この技術では、液体アルカリ金属アノードが重要な役割を果たす。
研究者達は、従来のリチウム・イオン電池がまもなく限界に達するという点で一致している。これは、通常グラファイトで作られる陽極がイオンを貯蔵できる量に限界があるためである。純粋なリチウム、あるいは持続可能で安価なナトリウムで作られた陽極が代替材料となる。「しかし、安全に動作させるには、液体電解質ではなく固体電解質が必要である。ここでの重要な問題は、固体陽極と固体電解質の界面で接触損失や空洞が発生し、電池が使用できなくなることである。」とBAMの研究者達はまとめている。解決策の一つとして、部分的に液体の陽極が挙げられる。
「液体アルカリ金属アノードは、従来のグラファイト・アノードの100倍の効率を実証することができた。」とベルリン・フンボルト大学の電池材料専門家であり、BAMの客員研究員でもあるGustav Graeberは説明する。「しかしながら、現時点ではこの技術は250 ℃でしか使用できない。我々の目標は、その利点を室温でも発揮させることである。」これを実現するために、研究チームはアノードの融点を下げるカリウム添加剤の実験を行なっている。ここでの課題は、一般的な固体電解質の多くがカリウムに対して十分な安定性を持たないことである。
BAMチームによると、解決策はナトリウム超イオン伝導体(NASICON)、ドイツ語でNatrium-Superionenleiterと呼ばれる特殊な固体電解質にある可能性があるという。「これらの材料は室温で高いイオン伝導性を示し、特にハフニウムと混合した場合、カリウムに対して化学的に安定している。しかし、ハフニウムは希少で高価である。」NASICONプロジェクトにおいて、GraeberとBAMの専門家からなる学際的なチームは、同等の効率性を持ちながらも、より持続可能で入手しやすい代替添加剤を模索している。最も有望な候補は、ナトリウム電池で直接試験されている。
「我々の研究プロジェクトは、より持続可能で、より安価で、より効率的な高性能電池の開発に向けた決定的な一歩である。」とGraeberは述べている。「ナトリウム固体電池は、充電時間を大幅に短縮し、移動型および定置型のエネルギー貯蔵システムの性能を大幅に向上させる可能性がある。これは脱炭素化への重要な貢献である。」
同様に、BAMはフンボルト大学およびベルリン・ヘルムホルツ・センターと共同で、最近、「ベルリン・バッテリー・ラボ」の設立を開始した。このラボは、3つの研究所の電池に関する専門知識を結集し、産業界にも解放される。