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溶融塩蓄熱電池:再生可能エネルギーへの執着に

終止符を打つことができるか?

Molten Salt Heat Storage Batteries: Could They End the Renewable Energy Obsession?

By Steve Hanley

https://egeneration.org/        2025.03.31

 

ベースロード発電所が24時間365日、ピーク効率で稼動し、余剰熱を溶融塩電池に蓄えてピーク時の電力供給に充てたらどうなるであろうか?原子力技術者のDonald Larsonが、これが風力発電や太陽光発電を不要にする可能性があると考察する。

 

ナトリウム原子炉の美しさ

 ナトリウム原子炉とその溶融塩蓄熱システムを初めて見た時、その優雅さに圧倒された。原子炉自体(人類が発明した最高の電源であると私は既にしんじている)だけでなく、ナトリウムが溶融塩電池を統合して電力供給をスムーズにする方法も驚かされた。

 そこで私は考えた。溶融塩蓄熱は、風力と太陽光発電で乃終焉を告げる鐘となるのであろうか?

 

送電網の複雑さを軽減し、効率を高めることはできるであろうか?

 送電網の複雑さを軽減し、効率を高める溶融塩蓄熱電池を開発することはできるであろうか?どうやら、できるようである。想像してみて下さい。ディスパッチ可能なベースロード発電所を、1日中出力を上下する代わりに、(ピーク時には高出力、夜間は低出力)24時間365日、最大効率でフル稼働させる。夜間に生産された余剰電力は、溶融塩蓄熱電池に熱として蓄えられる。

 そして、電力系統がピーク電力を必要とするとき、蓄熱した熱を放出して蒸気を発生させ、タービンを回転させる。これにより、高価で非効率なガス火力発電所は不要になる。

 なぜ風力発電所と太陽光発電所を再び検討する必要があるのであろうか?それが可能なのに、なぜ風力発電と太陽光発電を電力系統に導入することを検討するのであろうか?

 溶融塩蓄熱電池があれば、ベースロード発電所の効率が格段に上がり、電力系統もシンプルになるので、風力発電や太陽光発電は…まあ…ちょっと馬鹿げているように思えてくるのではないであろうか?

 

風力発電所を超えて溶融塩蓄熱を適応させる

 さらに考えが巡った。溶融塩蓄熱電池が原子力発電に適応できるのであれば、複合サイクル・ガスタービンにも適応できるのではないであろうか。

 従来の複合サイクル発電では、ジェット・エンジンの排気ガスが直接蒸気タービンに送られる。しかし、その排気ガスを溶融塩電池に噴射し、熱を捕捉・蓄熱したらどうなるのであろうか?そうすれば、蒸気を継続的に生成する代わりに、必要に応じて放出することで、変動する電力需要に瞬時に対応できるのである。

 実現可能かもしれない。もしかしたら実用化されるかもしれない。もしかしたら、もうすぐ実現するかもしれない。

 

全てを支配する1つの発電所?

 風力発電、太陽光発電、そして現在の電力網の複雑さに煩わされることなく、ベースロードからピークまで、すべての電力を1つの施設で賄うことができるであろうか?オハイオ州立大学に溶融塩研究施設を開設し、この研究を加速させることはできないのであろうか?

 誰にも分からないが、総生産能力答えを見付けるのは我々にとって最善の策かもしれない。

 

上記の技術のベスト-全てではない

 天然ガスと原子力は、溶融塩蓄熱と組み合わせれば「上記の技術のベスト」と言えるであろう。これ以上の多様性は本当に必要なのであろうか?

 想像もつかない。この2つがあれば、アメリカで最も安価な電力市場を実現できる可能性は十分にある。さらに「ターニングポイント」技術、つまり溶融塩炉とプラズマガス化を併設すれば、環境問題を解決しながら、先進的な原子力発電から複数の収益源を生み出すことができる。

 

計測するにはエネルギーが安すぎる?

 考えてみて下さい。石炭、都市ゴミ、下水をプラズマガス化して、クリーンな液体燃料に変えることができる。原子力発電で、既存の核廃棄物とガスを消費し、余剰分影響を及ぼす可能性がある。溶融塩に貯蔵し、副産物を販売すれば、信頼性の高い電力を生産できる。

 「計測するにはエネルギーが安すぎる」という昔からの夢は、ついに実現可能になるかもしれない。複雑性が高まるのではなく、複雑さが軽減されるのである。