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ナトリウム電池はリチウム電池と置き換わるか?

Will Sodium Batteries Replace Lithium Batteries?

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 20217月、CATLでの記者会見はナトリウム・イオン電池技術を舞台裏から表舞台に押し上げた。CATLの計画によれば、ナトリウム・イオン電池産業チェーンは2023年に構築され、工業化される予定である。エネルギー貯蔵の概念の人気が高まっていることにより、ナトリウム・イオン電池はたちまちエネルギー貯蔵サークルや投資コミュニティが求める最も輝かしいスターとなった。

 実際、ナトリウム・イオン電池に関する基礎科学研究は長年にわたって行われてきた。1979年、フランスの科学者Armandが「ロッキングチェアー型電池」の概念を提案し、リチウム・イオン電池とナトリウム・イオン電池の研究を開発した。それ以来、ナトリウム・イオン電池の研究は停滞している。硬質炭素負極材料の発見がナトリウム・イオン電池の転換点となったのは2000年になってからであった。

 リチウム資源への依存を減らし、低コストで安定性の高い新しい電池システムを開発することは、常にナトリウム電池の無尽蔵の探求の原動力となってきた。しかし、イオン半径が大きいということは、ナトリウム電池にはエネルギー密度という点で本質的な欠点があることを意味している。その結果、バックアップ電源、低速電気自動車、エネルギー貯蔵、および鉛蓄電池が使用されるその他すべてのシナリオが、間もなくナトリウム電池の主力分野となるであろう。言い換えれば、ナトリウム電池が鉛-酸電池に取って代わる可能性が非常に高いと言うことである。では、ナトリウム電池はリチウム電池に取って代わるのだろうか?この記事では、この質問に対する我々の見解を述べる。答を出す前に、ナトリウム電池について知っておく必要がある。

 以下に全固体電池とリチウム電池のつがいを比較した表を示す。役に立てば幸いである。

 

特徴

ナトリウム電池

リチウム電池

エネルギー密度

リチウム電池と比較して低エネルギー密度

ナトリウム電池と比較してエネルギー密度が高い

コスト

リチウム電池より安価

ナトリウム電池よりも高価

安全性

ナトリウム電池はより安全、爆発や火災を起こさないから

リチウム電池は火災や爆発を起こしやすい

環境への影響

ナトリウム電池はリチウム電池よりも環境に優しい。豊富にあり容易に入手できる材料であるから

リチウム電池は希少金属やミネラル必要とし、そのことは環境に悪い影響を及ぼす

性能

ナトリウム電池はリチウム電池と比較して性能が低い

リチウム電池はナトリウム電池と比較して性能が高い

再充電性

ナトリウム電池はリチウム電池と比較して寿命が短く、再充電回数が少ない

リチウム電池はナトリウム電池と比較して寿命が長く、再充電回数が多い

用途

ナトリウム電池は大規模エネルギー貯蔵用途に適している

リチウム電池は携帯機器や電気自動車に適している

 

ナトリウム・イオン電池の技術は成熟しているのか?

 ナトリウム・イオン電池はリチウム・イオン電池と同様に、正極、負極、電解質、隔膜で構成されていることが理解されている。リチウム・イオンと比較して、ナトリウム・イオンはサイズが大きく、材料構造の安定性と運動特性の点でより厳しい要件がある。これがナトリウム・イオン電池の実用化が難しい理由でもある。

ナトリウム電池とリチウム電池の製造設備の違いは何か?

両材料の製造設備はほぼ同じである。唯一の違いは、電池の製造に使用される原材料を変更することである。リチウム電池はコバルト酸リチウムの三元材料はすべて電気工学および固相法によって制御される。正極材料の生産ラインに投入される原材料は、主に炭酸リチウム、酸化ニッケル、ベンゼン酸または金属塩に炭酸リチウムまたは水酸化リチウムを加えたものである。ナトリウム電池の金属塩は変化しない。つまり、炭酸リチウムまたは水酸化リチウムが炭酸ナトリウムと水酸化ナトリウムに置き換えられるが、合成プロセス全体は同じである。

正極メーカーにとって、基本的には現在のリチウム電池正極製造設備を使用できるが、特定の製造パラメーターや条件にはいくつかの調整を加える必要がある。しかし、装備は基本的に同じである。グラファイトの差はそれほど大きくない。電解液は基本的に同様で、溶解したLiPF6NaPF6に置き換えるが、リチウム電池の製造ライン全体と大きな違いはない。

 

ナトリウム電池はリチウム電池の代わりになるか?

 いや、ナトリウム電池はすぐにリチウム電池に取って代わることはできない。業界では一般に、ナトリウム・イオン電池とリチウム・イオン電池は代替品ではなく、相互に補完するものであると考えられている。ナトリウム・イオン電池はエネルギー密度が低いため、中低速の電気自動車や大規模なエネルギー貯蔵に適している。

 業界の投資が増加し、技術が成熟し、産業チェーンが徐々に改善されるにつれて、費用対効果の高いナトリウム・イオン電池は、特に固定エネルギー貯蔵の分野において、リチウム・イオン電池の重要な補足となることが期待されている。発展の見通しは良好である。

 電池の要件は主に、より高い容量、より速い充電速度、より安全でより低いコストの側面に分けられる。同氏によれば、一時的に高容量に対応できなくなることを除けば、他の側面はナトリウム・イオン電池の利点であるという。現段階では、ナトリウム・イオン電池製品は主に150 Wh/kg未満の用途シナリオで使用され、リチウム資源の不足によるエネルギー貯蔵電池の開発の制限をある程度緩和することができる。

 「ナトリウム・イオン電池の大規模量産には明らかなボトルネックはなく、特定の市場で独自の特徴を活かして急速に市場を掌握するであろう。「ナトリウム・イオン電池は、最も経済的で安全性の高いエネルギー蓄電池として位置付けられている。大規模生産後は、鉛蓄電池の価格でリチウム・イオン電池の性能が実現される。

 ナトリウム・イオン電池の開発は自己革新のプロセスである。ナトリウム・イオン電池は最終的にリチウム電池と対決し、競争力を競い、市場を奪うのは必至である。CATLは明確なスケジュールを示しているが、ナトリウム・イオン電池の工業化には、技術的性能、産業チェーン、大量生産、コストといった困難も克服する必要がある。

 ナトリウム・イオン電池のエネルギー密度が本質的に不足していることはよく知られており、継続的な最適化の取り組みが止まることはない。エネルギー密度を160 Wh/kgから200 Wh/kgに高めるとこが、CATLにおける第二世代のナトリウム・イオン電池の研究開発目標となっている。

 

ナトリウム電池の工業化にはどのくらいの時間がかかるか?

 エネルギー貯蔵用途では、サイクル寿命を向上させる重要性を無視することはできない。公表された情報によると、既存のナトリウム・イオン電池のサイクル寿命は5,000回に達する可能性があるが、現在の市販のリン酸鉄リチウム・イオン電池のサイクル寿命は8,00010,000回に比べればまだはるかに低い。ナトリウム・イオン電池がエネルギー貯蔵分野のバックボーンになりたいのであれば、技術的性能の点で経験を続ける必要がある。

産業チェーン:

 さまざまな企業が公開した情報によると、ナトリウム・イオン電池の生産は、基本的には成熟し、応用されているリチウム電池の生産設備に従うことができる。各リンクの主要なプロセスに大きな違いはなく、生産能力の導入を迅速に実現できる。しかし、正極、負極、隔膜、電解液、集電体などの主要原材料においては、まったく新しい産業チェーン・システムの構築が必要となる。

大量生産とコスト削減:

 生産ラインを構築し、生産能力を高め、安定した量産を達成することは、あらゆる技術産業化が経験しなければならない9981の困難であり、ナトリウム・イオン電池の経験はまだ始まったばかりである。原材料価格の安さは、コスト削減におけるナトリウム・イオン電池の主な利点である。産業チェーンと生産システムが健全になる前は、ナトリウム電池のコストがリチウム電池に比べて有利ではなかった。

 

結論

 これまでのところ、我々の調査によると、ナトリウム電池技術は十分に成熟していないため、今日でもリチウム電池が世界の主要なエネルギー貯蔵供給源となるであろう。一方、皆さんがご存じの通り、リチウム電池には、今日の機械の需要を完全に満たすことができる非常に多くの利点と機能がある。利点については、このブログではあまり説明しない。当社のリチウム電池に興味がある場合、またはデバイスやプロジェクトに合わせてカスタマイズする計画がある場合は、可能な限りご質問にお答えするために当社までご連絡下さい。素敵なカスタマイズ・プロセスが完成することを願っている。