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塩摂取量、平均寿命と死亡率:休日のためのそれほど塩辛くない話

Salt Intake, Life Expectancy and Mortality: A Not-So-Salty Story for the Holidays

By Franz H. Messerli

https://cvctcardiobrief.comより  2020.12.23

 

 高塩摂取量は改めて高血圧性心血管疾患の引き金を引き、あるいは既存の高血圧を加速するという観察を多くの出版物が証明している。数十年間、開業医は過剰な塩摂取量について患者に警告してきた。WHO、アメリカ心臓協会、ヨーロッパ心臓病学会、疾病管理予防センター(CDC)のような機関は高血圧患者だけでなく健常な正常血圧者にも習慣的な塩摂取量を一般的に5 g以下にまで減らすガイドラインを発表してきた。実際に塩が「心臓の敵」と考えられなければならず、無数の早死の責任を負わなければならないとすれば、高塩摂取量が寿命を短くすると考えられる。我々は世界の181ヶ国の塩摂取量と全死因と共に平均寿命との間の関係を解析することによりこの仮説をテストした。この解析に含まれた181ヶ国の中で、我々は塩摂取量と60歳の健康平均余命と同様に健康平均寿命との間にポジティブな相関を明らかにした。全死因は塩摂取量と逆相関していた。最高所得国46ヶ国に限った感度解析で、塩摂取量は健康平均寿命とポジティブに相関を続け、全死因による死亡率と逆相関を続けた。

 

 

   世界の181ヶ国で平均寿命と全死因による死亡率とナトリウム摂取量との関係。アメリカ心臓協会、WHO、ヨーロッパ

心臓病学会による現在の恣意的な塩摂取量勧告値はむしろ低い平均寿命と高い死亡率と関係していることに注意。

 

長寿の霊薬を塩漬けにするか?

 

世界の181ヶ国で平均寿命とポジティブに相関し、全死因による死亡率と逆相関している我々の塩摂取量の結果は、寿命を縮める悪者あるいは早死の危険因子となるナトリウム摂取量に反対している。それはまたアメリカ心臓協会、WHO、ヨーロッパ心臓病学会そして疾病管理予防センターの勧告値の背景に疑問を呈している。

 しかし、我々のデータは厳密に観察的であり、栄養介入の根拠として使われるべきではない。したがって、我々は予測や食事勧告を行うことを意図的に差し控える。厳しい終末に関するエビデンスがないにもかかわらず、これらは減塩推進者達によって再々不適切に作られた。平均寿命または全死因による死亡率に影響を及ぼす塩摂取量を変えるか変えないかは、結局、個人的にあるいは国レベルで不明のままで、現在のデータから推論されない。