中国初の大規模リチウム・ナトリウム・ハイブリッドエネルギー貯蔵ステーションが稼動開始
China’s 1st Large-Scale Lithium-Sodium Hybrid Energy Storage Station Goes into Operation
By Phate Zhang
https://cnevpost.com/ 2025.05.27
● この蓄電ステーションは、最新の高容量ナトリウム・イオン電池を採用しており、従来のナトリウム・イオン電池の6倍の応答速度を誇る。
● 1日当たり80万kWhの電力を蓄電でき、27万世帯の家庭での使用が可能である。
中国初となる大規模リチウム・ナトリウム・ハイブリッドエネルギー貯蔵ステーションが稼動を開始し、ナトリウム・イオン電池の普及に伴い、数十万世帯への電力供給が可能になった。
新華社通信が昨日報じたところによると、中国南方電力網が運営する包池蓄電ステーションは、中国南西部の雲南省文山市に位置し、1日最大80万kWhの電力を貯蔵でき、27万世帯で使用できるという。
このエネルギー蓄電ステーションは約50 mu(33,333平方メートル)の敷地に、150以上の電池室と昇圧コンバーター室を備え、最大瞬間出力は200 MWに達する。
新華社通信は、このエネルギー蓄電ステーションの責任者であるWang Huiの発言を引用し、同ステーションは最新の高容量ナトリウム・イオン電池を採用しており、その応答速度は既存のナトリウム・イオン電池の6倍に匹敵すると述べた。
Wangによると、この蓄電ステーションは、性能が向上したナトリウム・イオン電池と技術的に成熟したリチウム電池を組み合わせ、出力200 MWを実現することで、雲南省の30以上の風力・太陽光発電所に電力を供給できるという。
Wangによると、これにより多数の新エネルギー源の安定した電力系統接続がより強化され、電力市場取引への参加が可能になり、新エネルギー源の効率的な利用が促進される。
南方送電網エネルギー貯蔵部門の研究員であるWan Minhuiによると、このエネルギー蓄電ステーションはリチウム電池とナトリウム・電池の利点を融合させ、ナトリウム・イオン電池のエネルギー貯蔵における応用シナリオをさらに拡大する。
Wangによると、このシステムは新エネルギーへのアクセス状況に応じて放充電モードを柔軟に調整でるため、新エネルギーの変動性をバランスさせることができる。
Wangは、チベット、新疆、甘粛、寧夏など、新エネルギーの生産量が多い地域では、砂漠地帯やゴビ砂漠にある新エネルギー基地からの安定した電力供給を実現するのに役立つと述べた。
報道では、エネルギー蓄電ステーションに搭載されるナトリウム・イオン電池に関する詳細は明らかにされていない。
中国の動力用電池メーカーであるHiNa Batteryは昨日、このエネルギー蓄電ステーションに同社製の世界初の大容量動力用ナトリウム・イオン電池が採用されていると発表した。HiNa Batteryは2017年に設立され、2022年12月にGWh級ナトリウム・イオン電池生産ラインの初号機がラインオフした。
ナトリウム・イオン電池は、原材料の豊富な埋蔵量、採掘の容易さ、そして低コストと言った理由から、ここ数年で広く注目を集めている。新しい電池は現在、主にエネルギー貯蔵に使用されているが、一部の電気自動車にも搭載され始めている。
2024年5月、Southern Gridは広西チワン族自治区南寧市に10 MWhのナトリウム・イオン電池エネルギー貯蔵システムを稼動させた。これは中国初の大規模ナトリウム・イオン電池エネルギー蓄電ステーションとなる。