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化学技術者が送電網エネルギー用ナトリウム電池の進歩を明らかに

Chemical Engineers Reveal Progress towards sodium Batteries for Grid Energy

https://chbe.umd.edu/     2025.01.23

 

 送電網エネルギー貯蔵のためのナトリウム・イオン連合に所属する研究者達は、持続可能な送電網エネルギー貯蔵を通じて増大するエネルギー需要を満たすのに役立つと期待される新しい代替手段であるナトリウム・イオン電池の設計に関する新たな結果を明らかにした。

 化学および生体分子工学部部門研究者達は、太平洋北西部国立研究所と共同で、革新的な電解質設計を通じてナトリウム・イオン電池を進化させる新しいアプローチを導入した。生体分子工学部門の教授であるChunsheng Wangが主導したこの研究は、本日Nature Nanotechnologyに掲載された。

 ナトリウム金属電池はナトリウム源の豊富さとコスト効率の良さから長い間、リチウム・イオン電池の有望な代替品と考えられてきた。しかし、高電位動作条件下では、高エネルギー密度と長いサイクル寿命を実現することは依然として大きな課題であり、化学の革新が極めて求められている。充電と放電操作を可能にする主要コンポーネントである従来の炭酸塩ベースの電解質は安定せず、カソード材料の劣化や、多くの場合セルの短絡を引き起こす結晶構造の成長につながり、すべてが商業化の障壁となっている。

 これらの問題を解明するために、研究者達はナトリウム金属デンドライトの成長に対する保護バリアを作成し、低コストで高エネルギーのニッケル・リッチ・カソードの高電位での高い安定性を確保する新しい電解質配合を開発した。

 「電解質は、ナトリウム金属電池の性能を左右する要因でもある。当社の高電圧電解質により、ナトリウム・アノードと高電位カソードは長いサイクル寿命と急速充電能力を実現できる。」とWangは述べた。

 この新しい電解質は驚くべき性能を示し、さまざまなサイクル条件下でセルサイクル寿命を1,000サイクル以上に延長する低コストで大容量の電池コンポーネントを実現するのに効果的であることが証明された。参考までに、約1,000サイクルは、11回の充電と放電サイクルで3年間の寿命に相当する。これは、電池技術の商業化に不可欠な前提条件である。

 「我々の研究は、金属ナトリウム電池開発において重大な課題に対処するだけでなく、持続可能なエネルギー貯蔵のための費用対効果が高く拡張可能な道筋も提示している。」と、研究の筆頭著者である研究助手Ai-Min Liは述べた。「この技術は、特に送電網蓄電池や電気自動車向けに、ナトリウム・イオン電池を実用化に近付ける可能性がある。」